有給取得日数・消化率ともに域内最低水準

グローバル人事・給与プラットフォームのDeel(米・サンフランシスコ)は2025年のAPAC地域における有給休暇の取得実態に関する調査結果を発表した。Deelを通じて雇用管理を行うフルタイム従業員4,500人超を対象とした本調査で、ベトナムの有給休暇取得状況がAPAC域内で最も低い水準にあることが明らかになった。

調査によると、ベトナムの有給休暇取得日数の中央値は11日で、調査対象国のなかで最も少なかった。これは域内トップのシンガポール(19日)の約6割にとどまる水準だ。

APAC各国における有給休暇の取得状況(2025年)Deel提供

また、付与された有給を100%消化した従業員の割合は23.61%と、こちらも調査対象国のなかで最低となった。比較として、韓国は53.29%、マレーシアは50.77%と半数以上が有給を完全消化しており、ベトナムとの差は歴然である。

隣国との比較でも差は明らかだ。フィリピンの取得日数は12日・消化率20%、インドは12日・17.20%と低水準ではあるが、ベトナムは日数・消化率の両方で最下位に位置している。

ベトナムの有給休暇制度——法律が定める「最低ライン」

そもそも、ベトナム労働法では、同一の使用者に12か月勤務した労働者に対して年間最低12日間の有給休暇が付与される(特定の職種では14日・16日)と定められており、さらに同じ会社での5年勤務ごとに1日が加算される仕組みになっている。

また、勤続12か月未満の場合でも、月数に応じた比例付与が認められている。入社初月から有給が発生しうるこの制度は、「入社から半年は有休ゼロ」となる日本の労働基準法とは根本的に異なる考え方だ。

つまり、制度の上では決して手薄ではないにもかかわらず、今回のDeel調査が示した「取得日数11日・完全消化率23.61%」という数字は、法定付与日数をそのまま消化しきれていない実態を映し出すものでもある。

【調査概要】

本調査は、2025年にDeelを通じて有給申請を行ったAPAC地域のフルタイム従業員4,500人超を分析対象としている。対象地域はベトナムをはじめ、日本、オーストラリア、シンガポール、香港、インド、フィリピン、マレーシア、韓国、インドネシア、中国本土など。なお、調査対象はDeelを利用するホワイトカラー人材が中心であり、各国の労働市場全体を代表するものではない点に留意が必要だ。