全国に700店舗以上のホットヨガスタジオ等を展開する株式会社LAVA International(東京都港区、代表取締役:鷲見貴彦)が、ベトナム3号店となる「LAVA x 25 FIT THẢO ĐIÊN」をホーチミン市タオディエンエリアに開業した。ホットヨガ、ホットマシンピラティス、EMSフィットネスに加え、2026年7月からはトランポリンエクササイズも導入される複合型施設だ。

所得向上とコロナ禍を経て、ベトナムの消費者が抱く健康・美容への意識は、一人ひとりの好みに応じた具体的なニーズとして顕在化する段階へと移りつつある。

同社Global Expansion Div. 執行役員・藤田智子氏への取材から見えてきたのは、ヨガ美容運動といったベトナムのウェルネス需要が多方向に動き出す中、複合型フィットネスをまず最初の接点として据えるという戦略だ。

成長するベトナム市場、LAVAが見据えるウェルネス需要

アジア最優先で進むウェルネス事業の海外展開

LAVA Internationalはシンガポール・マレーシアに続きベトナムで事業を展開し、グループ全体では「世界一のウェルネスカンパニー」を目標に掲げる。日本を自社のドメスティック市場と位置づけたうえで、アジアを最優先エリアとして事業展開を進めており、その中でも成長率が著しいベトナムは市場調査の結果として有力視され、進出の判断に至ったという。

ベトナム3号店「LAVA x 25 FIT THẢO ĐIÊN」。ヨガからピラティス、トランポリンまで多彩なフィットネスを一か所に集約した複合型ウェルネス施設だ。(写真出所)LAVA Internationalより提供。

ホーチミンの美容・健康意識が集まるタオディエン

出店先のタオディエンは、外国人駐在員や富裕層に人気の高いホーチミン屈指の高級エリアだ。インターナショナルスクールや高級レジデンスが集積し、健康・美容意識の高い住民が多いこのエリアは、近年ヨガピラティスへの需要の高まりでも注目を集めてきた。

藤田氏によれば、南部タオディエンは欧米文化に親しんだ層が多く、北部ハノイはフィットネス未経験の新規層が多い傾向にあるといい、立地選択は地域特性を踏まえた戦略的な判断と読み取れる。地域ごとに異なる運動・美容ニーズを見極めながら出店エリアを選定していく姿勢は、今後の多店舗展開においても重要な判断軸になりそうだ。

ベトナムの運動・美容市場の成長性

藤田氏は、ベトナムの運動・美容市場は今まさに成長の初速をつけている段階にあると分析する。アジア全体で見れば欧米ほど運動習慣が定着しているとは言えないのが実情だが、可処分所得の増加に加え、コロナ禍を一つの契機として健康・ウェルネスへの関心が急速に高まっているという。

他国の多くはすでに成熟したフィットネス市場への後発参入だったのに対し、ベトナムはこれから需要が立ち上がる稀有な市場だという。店舗展開の目標規模も「数十店舗」ではなく「100店舗以上」を掲げており、市場ポテンシャルへの強い期待が窺える。

ホットヨガ、マシンピラティス、EMS、トランポリンの各専用スタジオを4フロアに展開。運動・美容・リフレッシュを叶えるフィットネス空間。(写真出所)LAVA Internationalより提供。

ベトナムの運動・美容ニーズを一か所で ― 複合型の狙い

フィットネス習慣の入り口、総合型施設が果たす役割

複数のプログラムを一施設で提供する複合コンセプトについて、藤田氏は「一か所で何個もできる」という分かりやすさこそがベトナムの消費者にとって大きな魅力になると説明する。運動習慣化の初期段階では、多くの人がまずプール・マシン・グループレッスンを備えた総合型施設、いわゆる「ビッグボックスジム」を選ぶ傾向がある。

そこから徐々に、より専門性の高い「こだわりの場」=ブティックフィットネス専門特化スタジオへと関心が移行していくというのが、日本のフィットネス市場が実際に辿ってきた流れだ。ベトナムもまさに今、この初期段階にあるが、ウェルネスや美容への意識が急速に高まる中で、消費者が自分に合ったヨガや運動のスタイルを選び始める“こだわりの多様化”は、日本以上のスピードで訪れる可能性があると藤田氏は見ている。

ホットヨガで体幹と姿勢を整え、マシンピラティスで体幹を鍛え、EMSで効率的にボディメイク。ベトナムの多様な美容・運動ニーズに応える。(写真出所)LAVA Internationalより提供。

ヨガ・ピラティス未経験層を動かす複合コンセプト

ヨガやピラティスの未経験者がまだ多いベトナムにおいて、複合コンセプトは「まず試してみよう」と思わせる心理的なハードルの低さを提供している。単体の専門スタジオではなく、複数のフィットネス体験を一つの契約・一つの空間で気軽に試せることが、運動未経験層にとっての最初の一歩を後押しする形だ。

施設は4フロア構成で、ホットヨガ・ホットマシンピラティス・EMSフィットネス・トランポリンエクササイズを各専用スタジオで展開し、「運動」「美容」「リフレッシュ」を一か所で叶える。

ベトナムで広がるピラティスと、新ジャンル・トランポリン

ベトナムのウェルネス市場トレンドの面を見ると、ピラティスはすでにベトナムでも広く浸透している一方、トランポリンフィットネスはまだ新しいジャンルという位置づけだ。今回、LAVAブランドとしてベトナム初となるトランポリンエクササイズの提供を2026年7月より開始する。

音楽とライティングが融合した非日常空間で行う全身運動は、日本をはじめ海外でも支持を得てきた。普及済みジャンルと新規ジャンルが同一施設に共存する構成は、成熟と成長が同時に進むベトナムのフィットネス市場のダイナミズムをそのまま映し出している。

音楽とライティングが融合した非日常空間で行うトランポリンフィットネス。2026年7月よりベトナム初のウェルネス体験として提供を開始する。(写真出所)LAVA Internationalより提供。

フィットネスの質は変えず、人で応えるベトナム市場

日本発のヨガ・フィットネスメニューをそのまま展開

日本発のメニュー自体には大きなローカライズを加えていない。藤田氏は、欧米人が筋肉量やフィジカルベースの面で優位にある一方、ベトナム人は日本人に近いフィットネスレベル・体格傾向にあると認識しており、これがメニューを大きく変えていない理由の一つだと説明する。

メニューだけでなく空間づくりにおいても日本仕様を貫いており、ホットヨガスタジオには特許取得済みの「ウッドストーン・スタジオ」(特許登録第7389943号)を採用している。

樹齢80年以上の国産ヒノキの床材と、世界各地から厳選し独自技術でミックスした鉱石により、森林の中でヨガをするようなフィトンチッドの香りと、体を芯から温める遠赤外線の効果を同時に体感できる空間を実現している。日本発のこだわりを、そのままの品質でベトナムへ持ち込んでいる点も競争力の一つだ。

特許取得済みの「ウッドストーン・スタジオ」。国産ヒノキの床材と鉱石の遠赤外線効果で、森林の中でヨガをするような感覚を味わえる。(写真出所)LAVA Internationalより提供。

ベトナムのウェルネス消費者が求める「つながり」

一方で、ベトナム現地で特に重視されているのがインストラクターとの「つながり」、すなわちフレンドリーさや話しやすさへのニーズだ。藤田氏はこれを他国以上に大きな需要として感じているという。採用・研修はLAVA自身がすべて直接実施し、教え方だけでなくコミュニケーションの取り方まで含めた研修を行う。

利用者の約7割は現地ベトナム人で、中間層から一定の経済水準を持つ層が中心だ。既存の選択肢がジムしかなかった層が新たな選択肢として来店するケースや、他のピラティススタジオと併用するケースも目立つ一方、運動そのものが初めてという未経験層も一定数存在するという。

運動習慣を持つ人がまだ少なく、かつ所得向上とコロナ後の意識変化によって健康・美容への関心が急拡大しているベトナム。そこに、日本市場の発展プロセスを知る事業者が「入り口としての複合型」から「専門特化」への道筋をあらかじめ描いて参入してきたことの意味は小さくない。

ベトナムのフィットネス・ヨガ・ウェルネス市場は今まさに、量的拡大から質的多様化へと軸足を移しつつある転換点にある。LAVA Internationalの今回の一手は、その転換をいち早く捉えた先進的な取り組みと言えるだろう。

【株式会社LAVA International】

全国に700店舗以上のホットヨガスタジオLAVA等を運営し、累計280万人以上(2025年5月時点)が体験。マシンピラティス「Rintosull」や暗闇キックボクシング「BurnesStyle」、暗闇トランポリン「jump one」、ヘルスリゾート施設「天空の庭 天馬夢」など、多彩なサービス・ブランドを展開する。

【店舗情報】

  • 所在地:33 Thảo Điên, An Khánh, Hồ Chí Minh
  • 定休日:なし
  • 営業時間:6:30 AM〜9:30 PM
  • アクセス:タオディエン駅から徒歩10分、タンソンニャット空港から車で40分
  • 公式サイト:https://lava-vietnam.com/

ベトナム経済メディアInfoBank 編集長

三浦 賢弥

KENYA MIURA

筑波大学大学院でのベトナム研究・ホーチミン市師範大学での留学を経て、JETRO(日本貿易振興機構)に入構。

ベトナム進出コンサルティング・市場調査会社に7年間携わり、2026年1月にベトナム経済メディアInfoBankを企画・運営する株式会社InfoBase創業。代表取締役に就任。