米ナイキが2026会計年度(2025年6月〜2026年5月)の年次報告書を米証券取引委員会(SEC)に提出し、ベトナムがナイキブランド靴の世界生産量の52%を占め、4年連続で同社最大の製造拠点であり続けていることが明らかになった。
本記事のポイントは、
①靴・アパレルともにベトナムのシェアが前年から上昇し、中国・インドネシアとの差をさらに広げていること②ベトナム国内のナイキ関連工場は40万人超を雇用し、台湾・韓国系サプライヤーが供給網の中核を担っていること、③ナイキの世界売上が伸び悩む中でも、同社の生産拠点としてのベトナム依存度はむしろ強まっていること——の3点だ。
ナイキ2026年度報告書が映すベトナムの製造拠点としての重み
ナイキが7月15日付でSECに提出した年次報告書(Form 10-K)によると、2026年5月31日時点で同社の独立契約製造企業は世界11カ国・95カ所で靴工場を稼働させている。このうちベトナムの工場群が担った生産量は、ナイキブランド靴全体の約52%に達した。2位のインドネシアは27%、3位の中国は16%にとどまり、ベトナムは他国を大きく引き離す形となっている。
ベトナムの靴生産シェアは2025会計年度の51%から1ポイント上昇しており、同国がナイキの「最大生産拠点」の座を維持するのはこれで4年連続となる。単なる横ばいではなく、緩やかながら着実にシェアを積み増している点が特徴だ。

靴52%・アパレル34%——両分野で拡大するベトナムのシェア
靴だけでなく、アパレル(衣料品)分野でもベトナムの存在感は際立つ。ナイキのアパレル製品は34カ国・321カ所の契約工場で生産されているが、ベトナム工場が担う比率は約34%となり、2位のカンボジア(15%)、3位の中国(12%)を大きく上回った。
このアパレル生産比率は、2025年度の31%から3ポイント、2024年度の28%からは実に6ポイントの上昇となっており、靴以上のペースでベトナムのシェアが伸びている点が注目される。ナイキが世界的にサプライチェーンを再編する中で、ベトナムが単なる「靴の生産国」から「靴・衣料品双方を担う総合生産拠点」へと役割を広げつつある様子がうかがえる。
46万人超を雇用するベトナムの供給網、台湾・韓国系企業が中核に
ナイキの「Manufacturing Map」(2026年5月更新版)によれば、ベトナム国内には完成品を製造する工場が142カ所(アパレル83カ所、靴42カ所、器具・アクセサリー17カ所)存在し、これらの工場だけで46万939人を雇用している。労働者の平均年齢は32歳、女性比率は76.1%と高く、若い女性労働力がベトナムの生産現場を支える構図が改めて浮き彫りになった。
サプライヤー別に見ると、雇用規模で最大なのはTaekwang(6工場・約5万6000人)、次いでHuali(同・約5万5000人)で、これにFeng Tay、Changshin、Pou Chen、Ching Luhといった台湾・韓国系の大手委託製造企業が続く。いずれもベトナムに長年根を張る主要サプライヤーであり、ナイキのグローバル調達網の骨格を形成している企業群と言える。
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