2026年9月の新興国格上げでベトナム株式市場は何が変わるのか

2026年9月21日の取引開始をもって、ベトナム株式市場は「フロンティア」から「新興国」へ格上げとなる(FTSEラッセルのカテゴリーによる)。これにより、ベトナム株式が新興国インデックスへ組入れられることになる。

ベトナムの株価指数は26年間で18倍に上昇:VN指数の推移(2000年7月〜2026年8月、各月末値)
VN指数の推移(2000年7月〜2026年8月、各月末値)
(出所:2014年1月以降はホーチミン証券取引所、2013年12月まではCafeFをもとにInfoBank作成。各月の最終取引日の終値)

ただし、格上げが決まった年でありながらベトナムの株価は年初来ほぼ横ばいだ(2026年9月9日時点)。VN指数の同日終値は1,827.1ポイント、2025年末比で見ても2.4%高にとどまっている。2025年の実質GDP成長率は8.02%。取引額の75〜80%は国内の個人投資家が占める。

複数の機関は、今後ベトナム市場へ数十億ドル規模の資金が流入すると試算する。一方で足元の株価には、まだ大きな動きが見られない。

この記事では、制度が大きく変わりつつあるベトナム株式市場について解説する。日本からベトナム株式を取引する方法についてもあわせて紹介する。

ベトナムの株式や経済に関心がある方は、ぜひこの記事をお読みいただきたい。「新興国への格上げ」とは何か、ベトナムのマーケットが今後どう動くかが理解できる。

※この記事はベトナム株式市場に関する情報提供を目的とした解説であり、特定商品の売買を勧誘するものではありません。税務や特定の金融商品に関わる内容は、専門家にご相談ください。

ベトナム株式市場とは

ベトナム株を検討するなら、まず市場の姿を押さえておきたい。取引所はいくつあり、どの指数を見ればよく、誰が売買しているのか。日本の市場とは様子がかなり違う。この記事では次の2点を解説する。

  • 2つの取引所とVN指数
  • 売買の中心を担うのはベトナム国内の個人投資家
ホーチミン市のホーチミン証券取引所(HOSE)(出所:Wikimedia Commons

2つの取引所とVN指数

ホーチミン証券取引所(HOSE)の株式時価総額は2025年12月末に8,310兆ドンを超え、2024年GDPの72.2%に相当した。1日平均売買代金は2025年12月の23.6兆ドンに対し、2026年8月は17.3兆ドンで、流動性は下がっている。

ベトナムの株式市場は、

  • ホーチミン市のホーチミン証券取引所(HOSE)
  • ハノイのハノイ証券取引所(HNX)
  • 未上場の公開会社が登録するUPCoM市場(HNXが運営)

からなる。

ベトナムでは、複数ある取引所に異なる役割を担わせる動きが進んでいる。政府は、主たる役割としてホーチミン証券取引所(HOSE)に株式市場、ハノイ証券取引所(HNX)にデリバティブ市場と債券市場を割り当てている。ただしHOSEへの一本化は完了しておらず、2026年8月末時点ではHNXにも299社が上場している。

代表的な株価指数はVN指数(VN-Index)で、HOSE上場銘柄で構成される。日本の株式市場で言えば、日経平均株価やTOPIXにあたり、市場の様子を伝えてくれる指標である。HOSEに株式を上場する企業は2026年8月28日時点で405社である。

売買の中心を担うのはベトナム国内の個人投資家

ベトナム株式市場の特徴は、国内の個人投資家を中心に売買がなされていることだ。調査会社FiinGroupが集計した2025年の取引額では、国内個人が75〜80%を占めた。ちなみに日本では、現物株の売買代金に占める個人の比率はおよそ25%である(2025年度)。

ベトナムでは、個人の証券口座数は2026年8月末時点で1,380万口座を超え、年初来で200万口座増えた。信用取引の残高は、2026年第2四半期末で約435兆ドンと推計され、直近の四半期で30兆ドン増えている。

「新興国」への格上げでベトナム株が注目される理由とは

「新興国へ格上げ」と言われても、何がどう変わるのかは分かりにくい。そもそも格上げとは何か、なぜ今なのか、そしてどれだけの資金が入るのか。この記事では次の4点を順に解説する。

  • FTSEによる新興国への格上げとは何か
  • 外国人が買いやすい市場に変えた2つのルール改正
  • 2026年9月から4段階で進む組入れスケジュール
  • ベトナム株式市場にどのくらい資金が流入するのか

FTSEによる新興国への格上げとは何か

FTSEラッセルロンドン証券取引所グループ(LSEG)傘下の株価指数会社である。FTSEは、各国の市場を

  • 先進国
  • 新興国
  • フロンティア

のいずれかに分類しており、カテゴリーに応じてその国の株式がどのように取り扱われるかが変わってくる。判定にあたっては、その国の規制や取引インフラ、外国人が売買しやすいかなどを考慮する。

FTSEラッセルは、2025年10月7日のベトナム市場の取引終了後、ベトナムを「フロンティア」市場から「新興国(セカンダリー・エマージング)」市場へ格上げすると発表した。発効日は2026年9月21日の取引開始時である。新興国カテゴリーへの格上げによって、新興国インデックスに連動する世界の資金が、ベトナム株式にも流れ込むことになる。

なお、今回「新興国」カテゴリーへの引き上げを決めたのはFTSEであり、別の指数会社であるMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は扱いを変えていない。両社は基準も運営も別であり、MSCIの2026年市場分類レビュー(2026年6月23日付)にはベトナムへの言及はない。MSCIの分類上では、ベトナムは「フロンティア」のままである。

外国人が買いやすい市場に変えた2つのルール改正

格上げに先立ち、ベトナムは外国人投資家の売買に関わるルールを相次いで変えていた。特に、

  • 外国の機関投資家について、全額事前入金なしの発注を条件付きで導入(Circular 68/2024/TT-BTC)
  • グローバルブローカー経由の注文を認める(Circular 08/2026/TT-BTC)

といった変化があった。FTSEが2026年3月の中間審査で評価したのも、グローバルブローカー・モデルを確立してきた取り組みと、事前入金なしの発注を認めたのが大きな材料である。

ベトナム経済の地力が高まっているのも追い風になっている。ベトナム国家統計局(NSO)が2026年1月に公表した推計値では、2025年の実質GDP成長率は8.02%だった。2026年から2030年の国家予算による中期公共投資計画は8,220兆ドン(約3,120億ドル)にのぼる。

2026年9月から4段階で進む組入れスケジュール

ベトナム株式が「新興国」カテゴリーへ組入れられる第1回は、2026年9月21日である。

組入れとは、FTSEの新興国指数の銘柄構成にベトナム株が加えられることだ。このインデックスに連動して運用される世界の資金は、インデックスの中身に合わせて保有を調整する。したがって投資可能ウェイト係数が上がるほど、ベトナム株がインデックスに占める比率も上がり、ベトナム株に振り向けられる金額も大きくなる。

組入れは4段階に分かれる。1年ほどかけて、段階的に投資可能ウェイト係数を10%、30%、65%、100%と引き上げる設計だ。最終的な適格銘柄は27になる見込みである。内訳は、大型3銘柄(Vietcombank、Vingroup、Vinhomes)中型3銘柄(BIDV、Hoa Phat、VPBank)、小型21銘柄となっている(データ基準日は2026年6月30日終値)。

なお、下の表に並ぶ ”FTSE Emerging All Cap” は大型・中型に小型を加えたインデックス、”FTSE Emerging” は大型・中型だけのインデックスである。ベトナムの27銘柄は小型が21銘柄を占めるため、小型銘柄を含む”All Cap”のほうがウェイトは高くなる。

発効予定日累積の投資可能ウェイト係数FTSE Emerging All Cap の予想ウェイトFTSE Emerging の予想ウェイト
第1回2026年9月21日10%0.0490%0.0310%
第2回2027年3月22日30%公表なし公表なし
第3回2027年6月21日65%公表なし公表なし
第4回2027年9月20日100%0.4880%0.3089%
初回のウェイトは完全組入時の10分の1:FTSE新興国指数への4段階組入れスケジュール
段階的なFTSEへの組入れスケジュール(ウェイトは2026年8月21日終値基準、構成銘柄は27銘柄)
(出所:LSEG “FTSE Russell FAQ Document: Vietnam Reclassification“)

第1回の組入れは2026年9月21日に発効する。このときベトナム株式に割り当てられるウェイトは、FTSEの公表値でFTSE Emerging All Cap 0.0490%である。完全に組入れを終えたときの0.4880%と比べると、まだ10分の1にすぎない。報道で見かける「ウェイトが0.49%になる」は、2027年9月に予定される最終段階の話である。

なお、FTSEは段階を進めるたびに、インデックスに連動する運用者が変更を再現できたかを評価し、そのうえで次の回を発効させるとしている。上にあげた表について、第2回以降は確定した予定ではない。

ベトナム株式市場にどのくらい資金が流入するのか

ベトナム株式市場への流入額に関する試算はいくつかあるが、計算方法が違うため単純には比べられない。流入額を計算する際に、大きく分けて

  • 指数に連動して機械的に売買される資金(パッシブ資金)だけを数えた試算
  • 運用者が自分の判断で動かす資金(アクティブ資金)や、それ以外の資金まで含めたもの

が混ざっている。対象となる資金が異なれば金額も変わってくる。

推計主体公表日パッシブ資金の額と期間アクティブ資金の額と期間FTSEのみか、MSCIを含むか
世界銀行2026年5月30〜50億ドル(格上げ後の最初の3年間)。パッシブ・アクティブの区分は明記なし同左(区分の明記なし)明記なし
世界銀行2026年4月22日最大250億ドル(2030年まで、改革が続くことが条件)。区分の明記なし同左(区分の明記なし)明記なし。MSCIは名指しされていない
ドラゴン・キャピタル同社ページに掲載日の記載を確認できず同社ページは約15億ドルと記載。ただし語は「間接投資」でパッシブに限定されない。対象期間の明記なし明記なし明記なし
SSI証券2026年8月25日4段階の累計で約22億ドル、うち初回(2026年9月)分は2億〜2億2,000万ドル。対象期間は2026年9月から2027年9月明記なしFTSEの段階組入れのみ
Vietcap証券2026年9月8日4段階の累計で約23億ドル、うち初回(2026年9月)分はその10%で約2億3,000万ドル明記なしFTSEの段階組入れのみ
指数連動の資金に絞れば約22億〜23億ドルで一致:機関別・資金流入額の試算比較
機関別・資金流入額の試算比較(出所:World Bank “Viet Nam Economic Update“、World Bank “A turning point for Viet Nam’s capital markets“、Dragon Capital “Đón dòng vốn tỷ đô từ FTSE cùng Quỹ Cổ phiếu Dragon Capital“、Vietnam Investment Review “FTSE upgrade puts Vietnam on global investors’ radar, now investability must follow“、Vietcap “Chiến lược thị trường ngắn hạn tháng 9/2026 – Chào đón dòng vốn đầu tiên từ nâng hạng thị trường“)

パッシブ資金に絞った直近の試算では、ベトナム国内の証券会社2社がほぼ同額を見込んでいる。

SSI証券は、4段階の組入れを経て流入する資金を合計で約22億ドル、2026年9月の初回だけで2億〜2億2,000万ドルとしている。Vietcap証券は累計で約23億ドル、初回はその1割にあたる約2億3,000万ドルと見積もっている。

8月の報道で広まった「30億ドルが動く」試算も同社アナリストによるとされるが、同社自身が9月8日に示した数字は約23億ドルで、若干のずれがある。

初回分は、HOSEにおける2026年8月の1日平均売買代金17.3兆ドン(1ドル=2万6,000ドンで約6億7,000万ドル)の3割前後にあたる。ただし資金は市場全体へ満遍なく行き渡るのではなく、指数ウェイトと投資可能な時価総額に応じて27銘柄に偏って配分される。売買代金との比率だけで値動きへの影響を測るのは難しい。

この22億〜23億ドルという累計額は、4段階の組入れがすべて予定どおり進んだ場合の数字である。第2回以降の組入れが実際に行われるかは、FTSEの評価を経て決まる。また、ベトナムは「新興国」インデックスに入る代わりに、「フロンティア」指数からは削除される。

「格上げ=株高」とは限らない?ベトナム株のリスクとは

資金が入るなら株価は上がる、と考えたくなる。しかし現地の証券会社は慎重で、外国人の売買も一方向ではない。制度にも積み残しがある。格上げだけでは説明できない材料を3つ挙げる。

  • 現地の証券会社「値上がりは織り込み済み」と警告
  • 外国人による売買は動きを読みづらい
  • ベトナム株式市場の制度は前進、実務はいまだ途上

現地の証券会社「値上がりは織り込み済み」と警告

2026年9月8日、ベトナム最大級の証券会社であるSSI証券の調査部門SSI Researchが、格上げと株価に関する見方を示した。カテゴリー格上げへの期待は、すでに大部分が価格に織り込まれたという。さらに2026年9月後半について、FTSE格上げ関連の動きが一段落したあとに、より強い売り圧力を受ける可能性があると指摘した。

2026年9月上旬までの相場はこの見込みに沿って動いており、前述のとおりVN指数は年初来ほぼ横ばいにとどまっている。SSI Researchの試算では、指数に与える影響が大きいVingroup系を除くと、2026年8月末時点でVN指数は年初来4.1%下落していた。2026年5月中旬の高値(約1,930ポイント台)圏と比べると5%程度低い水準だった。

ただし「横ばい」は年初と足元を比べた結果であって、その間の値動きが穏やかだったわけではない。2026年3月9日には、1日で115ポイントを超える下落(1日で6.5%安)を記録し、ポイント幅では史上最大の下げ幅となった。

過去の他国の事例も同じ方向を示している。指数会社MSCIが国の分類を変更した17件(2000〜15年、格上げ・格下げの双方)を調べた研究がある。このうち8件は、指数に連動する資金がその国の株を買い増す方向への変更だった。今回のベトナムと似たようなケースにあたる。

8件を平均すると、その国の株式市場全体を示す指数は、変更が発表されてから発効するまでに配当込みで23.2%上昇し、発効後の1年では12.4%下落した。発効前に上がった分が、その後おおむね戻された形である。

ただしこれは個別銘柄ではなく国全体の指数の平均であり、対象もFTSEではない。ベトナムはフロンティア指数から削除される側面もあり、結果どおりの規模で、今回の事例でも流入が起こるというわけではない。

外国人による売買は動きを読みづらい

「格上げで資金が入ってくる」という期待の裏で、外国人投資家は2025年にベトナム3市場で合計135.3兆ドンを売り越した。過去最大の規模で、VnEconomyは約52億ドルと換算している。

売り越しは2026年も続いている。SSI Researchの集計では、今年1月から8月における累計で、HOSEの外国人による売り越しは93.6兆ドンに達した。ただし8月単月で見ると外国人売り越しは、約1.4兆ドンまで急減速し、前月比88.6%減と5か月ぶりの低さとなった。売り越しが減ったのは、買いが増えたのではなく売りが減った結果である(売却額は前月比22%減、買付額はほぼ横ばい)。

外国人の売買は、取引所と期間の取り方によって様子が変わる。HOSEは1〜8月の累計では売り越しているが、8月24日から28日の週に限ればおおむね買い越しだった(8月26日のみ小幅な売り越し)。HNXは8月単月で710億ドンの買い越しである。ただしその額は、HOSEが8月に売り越した約1.4兆ドンの20分の1程度で、流れが変わったとまでは言えない。

ベトナム株式市場の制度は前進、実務はいまだ途上

ベトナム株式市場の制度を調べる際には、

  • 過去に制度を改善してきた経緯
  • いまだに実務的に整備されていない点

の両方を見ておく必要がある。

今回の改革で、外国の機関投資家は普段使う証券会社(グローバルブローカー)を経由してベトナム株を売買できるようになった。ただしこの制度を使うには、海外の証券会社とベトナム国内の証券会社が相対で契約を結んでおく必要がある。

FTSEは、株式取引に向けた実務の設計は固まったとしたうえで、残る作業はこの相対契約を結び終えることだとしている。制度ができたからといって、個々の投資家がすぐに株式を売買できるわけではない。法令の整備にも課題が残っている。政府はFTSEが指摘した点にも対応を進めており、現在は新たな省令に対して意見を募集している段階だ。

また、ベトナム株式は業種や企業の偏りも大きく、業種で言えば銀行と不動産の比重が高い。FTSEの組入れでもこの偏りは変わらない。大型3銘柄はVietcombank、Vingroup、Vinhomesで、うち2つがVingroup系である。

指数に連動する資金はウェイトに応じて配分されるため、格上げで入る資金も同じ銘柄により多く向かっていく。「ベトナムの成長に投資する」つもりでも、実際に買っているのは限られた大企業と特定の業種である。上場する企業の顔ぶれが広がるかどうかは、今後の課題として残る。

日本からベトナム株に投資するには?

日本に住んだままベトナム株を持つ方法はいくつかある。ただしそれぞれの方法で手数料や税金・NISAの扱いも変わってくる。買い方ごとの違いと、日本の税制で気をつける点を確認する。

  • コストが異なるベトナム株への3つの入口
  • 日本の税制に関する注意点

コストが異なるベトナム株への3つの入口

日本に居住しながらベトナム株を取引する方法は、

  • 個別株
  • 国内の公募投資信託
  • 海外上場ETF

の3つに分かれる。それぞれの方法によって、口座区分や最低取引金額、注文方法などが異なる。

個別株を取引する場合は、ベトナムの取引所に上場する銘柄を自分で選んで買う。国内の公募投資信託は円のまま少額から買えるが、銘柄選びは運用会社に任せることになる。

海外上場ETF(上場投資信託)は、ベトナム株をまとめて持つファンドの持ち分が米国や香港の取引所に上場しており、個別株と同じように市場で売買する。買うのはベトナム株そのものではなくファンドであり、売買は現地通貨建てで行い、取引ルールも現地に従う。

日本で取り扱っている証券会社や手数料をまとめると下の表のとおりとなる。

項目①個別株②国内公募投資信託③海外上場ETF
主な商品・取扱会社アイザワ証券、SBI証券、岩井コスモ証券など。取扱市場はHOSEとHNXiFreeNEXT ベトナム株インデックス、ベトナム株ファンド(大和アセットマネジメント)ヴァンエック・ベトナムETF(VNM、米国上場)、エックス・トラッカーズ(香港上場。上場廃止が公表済み)
信託報酬・実質コスト該当なし信託報酬 年率0.781%〜1.793%。ほかに信託報酬外の実績が0.401%〜0.460%経費率 0.66%〜0.85%
売買手数料公示料率は約定代金の1.65〜11.0%。最低手数料があるため少額の注文では実効料率が11.0%を超える購入時手数料は0〜上限3.3%。信託財産留保額なし米国上場は約定代金の0.495%・上限22ドル
為替コスト1,000ドンあたり20銭前後ファンド内で処理。為替だけを切り出した率は非公表米ドルは0銭から片道25銭程度。香港ドルは片道15銭
売買単位・最低額100株単位1円単位または1口単位VNM 1株単位、エックス・トラッカーズ 10株単位
NISA可否証券会社と銘柄で決まる(岩井コスモ証券は対象外と明記)両ファンドとも成長投資枠のみSBI証券・マネックス証券はVNMを成長投資枠で選択可
3種類の商品でコスト構造がまったく違う:日本からベトナム株に投資する3つの方法(2026年9月9日時点)
日本からベトナム株に投資する3つの方法
(出所:各社公式サイト、目論見書・運用報告書、SEC提出書類、HKEXをもとにInfoBank作成(2026年9月9日時点))

コストの構造は商品の種類で分かれる。個別株は信託報酬がない代わりに売買手数料が往復でかかる。海外上場ETFは売買手数料0.495%前後と負担は小さめだが、自身で米ドルに両替のうえ取引する必要がある。

投資信託で注意したいのは、目論見書に載る信託報酬が費用の全部ではないことだ。売買委託手数料や海外での保管費用はこれとは別にかかる。直近の運用報告書ではiFreeNEXT ベトナム株インデックスで年率0.460%あり、信託報酬と合わせると1.241%になる。

これらの費用は、現物を保有する海外上場ETFでも同じようにかかっている。ただしETFの経費率は、保管費用は含む一方で、組入銘柄の売買委託手数料は含まない。VNMの場合、2025年の実績で年率0.08%程度が経費率に含まれていない。表の数字を比べるときは、この分を足して見る必要がある。

日本から投資するなら、手数料や税に加えて為替レートも収益に影響を与える。ベトナムドンでの評価もしくはファンドの運用となるため、ドン安が進めば実質的な収益は目減りする。

商品を選ぶときは、個別のファンドが抱える事情も見ておく必要がある。例えば、エックス・トラッカーズのベトナムETFは、2025年10月14日に連動指数をFTSEベトナム指数から別の指数へ変更。ファンド名から「FTSE」も消えた。連動する指数を変えると、運用成績やリスクなどに影響が出る。

DWSは2026年9月1日、ETFの香港ラインの上場廃止を公表した。最終売買日は2026年11月30日で、残る持分は12月8日に強制償還される予定である。該当するETFを購入していると、改めて運用先を検討するとともに、償還金の受け取りに伴う手続きや確定申告が必要となる場合がある。

日本の税制に関する注意点

日本の居住者が国内の証券会社を通じてベトナム株式や関連商品を売買した場合、譲渡益は原則として申告分離課税となる。ただし、外国法人からの配当には日本の配当控除を適用できない。

「ベトナムの個別株はNISAの対象外」と言われることもあるが正確ではなく、証券会社や銘柄による。SBI証券は選定したベトナム株を成長投資枠で買い付けることができる一方で、岩井コスモ証券は対象外と明記している。

まとめ

ベトナム株式市場は2026年9月21日の取引開始をもって、FTSEによって「新興国」カテゴリーへ格上げとなる。ベトナムにおける株式マーケットの制度改革を重ねた結果であり、今後、市場の活性化が期待できる。新興国インデックスへの組入れは1年かけて4段階で進む予定だ。

新興国への格上げによって、ベトナムへの資金流入が期待されている。見込まれるパッシブ資金の流入は、証券会社2社による直近の試算で累計22億〜23億ドル、初回は2億〜2億3,000万ドルである。2026年8月にHOSEで成立した1日平均売買代金の3割前後にあたる。

一方で現地の証券会社は、株価の値上がりはすでに大部分が織り込まれたと見ている。外国人の売買は取引所や期間によって大きく動きが変わり、先行きを見通すのは難しい。

日本からベトナム株を取引する方法としては、個別株、国内の公募投資信託、海外上場ETFの3つがある。それぞれの商品でコストの構造が異なる点に注意が必要だ。信託報酬や経費率をきちんとチェックするとともに、為替や税制も収益に影響を与える点も押さえておきたい。

※この記事はベトナム株式市場に関する情報提供を目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を勧誘するものではありません。税制や個別の金融商品に関しては、専門家に必ずご相談ください。

ベトナム経済メディアInfoBank 記者(Journalist)

新居 理有

Real Arai

龍谷大学、経済学部准教授、及び財務省財務総合政策研究所客員研究員。

京都大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。財政政策・財政学・公共経済学・マクロ経済学を専門とし、2023年4月より龍谷大学に着任。

財政やマクロ経済の分野を中心に研究・教育活動に取り組んでいる。

参考記事

国税庁「No.1250 配当所得があるとき

国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)

国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除

国税庁「No.1937 外国株式等を譲渡した場合の課税関係

日本経済新聞「日本株売買、個人が25% 12年ぶり高水準 若年層が積極取引

日本取引所グループ「投資部門別売買状況

BigGo Finance “FTSE Russell Adds 27 Vietnam Stocks to Emerging-Market Index, Unlocking $3 Billion in Flows

CafeBiz “Việt Nam có thêm 2 triệu tài khoản chứng khoán từ đầu năm 2026“(2026年9月9日)

CafeF “Dư nợ margin toàn thị trường lập kỷ lục gần 450.000 tỷ

Công Luận “VN-Index tăng 96 điểm trong tháng 8, SSI thận trọng trong tháng 9

Dragon Capital “Đón dòng vốn tỷ đô từ FTSE cùng Quỹ Cổ phiếu Dragon Capital

FiinGroup “Navigating Capital for Vietnam Economic Growth 2026 and Beyond

HKEX “Cessation of Trading, Compulsory Redemption, Deauthorisation, and Delisting of Xtrackers in Hong Kong

HOSE “Quyết định số 37/2020/QĐ-TTg

LSEG “FTSE Russell FAQ Document: Vietnam Reclassification“(v1.3、2026年8月)

MSCI “MSCI 2026 Market Classification Review

National Statistics Office “Báo cáo tình hình kinh tế – xã hội quý IV và năm 2025

Nhân Dân “Thị trường cổ phiếu niêm yết HNX tháng 8/2026

SSI “Monthly Market Outlook

Tạp chí Kinh tế Tài chính “Vốn hóa sàn HoSE tháng 8/2026 vượt 8,84 triệu tỷ đồng, VN-Index tăng 5,55%

Terence C. Burnham, Harry Gakidis and Jeffrey Wurgler “Investing in the Presence of Massive Flows: The Case of MSCI Country Reclassifications” 全米経済研究所(NBER)ワーキングペーパー第23557号、2017年6月

Thời báo Tài chính Việt Nam “Giá trị vốn hóa cổ phiếu trên HOSE đạt hơn 8,31 triệu tỷ đồng

Vietcap “Chiến lược thị trường ngắn hạn tháng 9/2026 – Chào đón dòng vốn đầu tiên từ nâng hạng thị trường

Vietnam Investment Review “FTSE upgrade puts Vietnam on global investors’ radar, now investability must follow

VietnamPlus “Lực bán gia tăng, VN-Index giảm hơn 115 điểm trong phiên đầu tuần

VietnamPlus “National Assembly adopts medium-term public investment plan for 2026-2030

VnEconomy “Khối ngoại bán ròng kỷ lục 5,2 tỷ USD trên thị trường chứng khoán Việt Nam năm 2025

World Bank “A turning point for Viet Nam’s capital markets

World Bank “Viet Nam Economic Update