国連開発計画(UNDP)とベトナム国家イノベーションセンター(NIC)が推進する「ベトナム国家イノベーションセンター活性化プロジェクト」の一環として、ベトナムのディープテック系スタートアップ8社が日本企業・投資家との連携を目指す「Viet Nam–Japan high-growth Startup Connection Program」が2026年7月27日から8月1日にかけて開催される。
運営は、ホーチミン拠点のイノベーション・カタリストInnovation Lab Co., Ltd.(InnoLab Asia)と、事業創造支援を手がける株式会社ゼロワンブースター(東京都千代田区、代表取締役:合田ジョージ)が共同で担う。
本件について、InfoBankは株式会社ゼロワンブースターに問い合わせを行い、第1弾の実施結果や第2弾の特徴について確認した。
ベトナムスタートアップ第1弾は商談50件超を実現
同プログラムは2026年度中に2回に分けて実施されており、第1弾は2026年6月29日から7月4日にかけて開催、ベトナムスタートアップ11社が来日した。ゼロワンブースターへの確認によると、第1弾では30社以上の事業会社・投資家等と50件以上の商談が実施され、2件のMoU(覚書)が締結されたという。日本企業との具体的な連携に向けた動きがすでに生まれており、今回の第2弾はこうした成果を踏まえたプログラムとなる。
ベトナムスタートアップ第2弾はDeepTech色濃く
第2弾で来日する8社は、6か月間のアクセラレーションプログラム「NIC Scale X」を経て選抜された企業群だ。ゼロワンブースターによると、第1弾と比較して採択企業はよりディープテック中心となっており、各社の事業ステージも進んでいるのが特徴という。
実際、シリーズA+の資金調達段階にある企業や、累計調達額が数百万USD規模に達している企業も含まれ、単なる技術シーズの段階を超え、商業化・海外展開のフェーズに入っている企業が中心となっている。
またベトナム側から共有された情報によれば、採択企業の中にはすでに日本企業との取引実績や、日本の投資家からの資金調達を受けているスタートアップも含まれているとのことで、日本市場への本格展開に向けて、事業連携や投資機会の創出が一段と期待される内容となっている。
ベトナムスタートアップの注目株、日本法人設立済み
採択8社の中でも特に注目されるのが、独自の砂蓄熱システム(Sand Battery)を開発するCleanTechスタートアップ、Alterno Energyだ。同社はすでに日本法人を設立済みであり、日本市場への本気度がうかがえる。
Alterno Energyは、再生可能エネルギーの余剰電力を最高600℃の熱エネルギーとして蓄積し、産業用プロセス熱として供給する技術を持つ。従来の溶融塩式蓄熱と比べて安全性・コスト面で優位性があり、蓄熱コストはリチウムイオン電池比で約50%低いという。シリーズA+の段階にあり、累計調達額は280万USDに達する。

Alterno Energyは、PepsiCo(熱コスト46%削減)、Mondelez、NTT、ヤマハといった世界的な食品メーカーや日本企業への導入実績を持つ。2025年の売上は116万USD(前年比265%成長)で、受注残高は2,000万USDに積み上がっている。MUFGからIPOアドバイザリー支援を受けているほか、筑波にもオフィスを開設しており、日本の製造業・エネルギー・データセンター分野でのパートナーシップや投資家連携を求めている。
もう一社の注目企業が、AI施肥推奨プラットフォームを提供するEnfarm Agritechだ。同社は、2025年にパリで開催された「AI Action Summit」において、世界111カ国・約800件の応募の中から選出された「Top 50 AI Projects」の一社に選ばれている。

アジアから選出された4プロジェクトのうちの1社として、AIを活用した持続可能な農業ソリューションが国際的に評価された形だ。同社は独自のlab-on-a-chip土壌センサーとAIを組み合わせ、施肥量あたりの収量を最大70%向上させる実証データを持ち、21都市で1,800台超のセンサーを販売済み、フィリピンでも3万ヘクタールへの導入が進んでいる。
ベトナムスタートアップ来日イベントの日程・参加方法
- 日程:2026年7月27日(月)~8月1日(土)
- Day1・Day3(7月28日・30日):個別面談(1社につき60分)、会場:SAAI Wonder Working Community(東京都千代田区丸の内3-3-11階)
- Day2(7月29日):ベトナム・スタートアップエコシステムセミナー、ピッチイベント(採択8社全社)、ネットワーキング、個別面談(1社につき約20分)、会場:新東京ビル4階「Shin Tokyo 4TH」Meet-upスペース(同3-3-14階)
- 参加費:無料(要事前登録)
- 対象:ベトナム・東南アジアのスタートアップとの協業や投資に関心のある事業会社、VC/CVC、スタートアップ支援機関等
- 主催:UNDP、NIC
- 運営:InnoLab Asia/株式会社ゼロワンブースター
ピッチイベント(7月29日)への参加申込:https://vietnamjapanaccelerationprogram.peatix.com
個別面談の申込:https://forms.gle/CAsubvfSPKaRMQ869
採択8社一覧
| 分野 | 企業名 | 特徴 |
|---|---|---|
| CleanTech | Alterno Energy | 砂蓄熱システム、日本法人設立済み |
| CleanTech | VOX Cool | 相変化材料活用のCold Battery、オックスフォード大発技術 |
| AgriTech | Enfarm Agritech | AI土壌センサー、パリAI Action Summit「Top 50」選出 |
| AgriTech | Rongbient Biotech | 海藻活用のバイオフィルタリング、エビ養殖向け |
| AgriTech/ロボティクス | Shoes JSC(Airboots) | 水面走行型自律農業ロボット |
| スマートファクトリー | StarGlobal 3D | 3D/360°デジタルツインプラットフォーム |
| スマートファクトリー | Next Robotics | 自律移動ロボット(AMR)、日韓FDI企業への導入実績 |
| DeepTech/AI | N2TP Technology Solutions | Neural-Symbolic AI、精密投薬AI「SmartDoseAI」 |
本記事は株式会社ゼロワンブースターへの取材および同社発表の資料をもとに作成しました。
