ベトナムのスタートアップ企業12社が6月29日から7月3日にかけて来日し、東京都内で日本企業とのビジネスマッチングイベントに参加する。本イベントの企画・運営を担う株式会社ゼロワンブースター取締役の川島氏に、ベトナムとの取り組みや今回のプログラムの狙いについて話を伺った。

ベトナムスタートアップ企業12社、東京でビジネスマッチング

事業創造カンパニーとして企業のオープンイノベーションや新規事業開発を支援する株式会社ゼロワンブースター(以下「01Booster」)は、日本政府の支援のもと国連開発計画(UNDP)およびベトナム国家イノベーションセンター(NIC)が共同運営する「ベトナム国家イノベーションセンター活性化プロジェクト」の一環である「Viet Nam-Japan Incubation Programme」において、実行パートナーであるInnoLab Asia(ホーチミン拠点のイノベーション・カタリスト)と連携し、ベトナムのスタートアップ企業12社による日本進出プログラムの企画・運営を担当する。

対象となるのはAI、クリーンテック、アグリテック、モビリティ、メドテック、エドテックなど多様な分野のベトナムスタートアップ企業12社で、6ヶ月間にわたる60回以上のトレーニングと100回以上のマッチングセッションを経て選定された。

今回はその次のステップとして、日本国内の事業会社や投資家との新たな協業・マッチングの機会創出を目指すものだ。

2026年6月29日(月)から7月3日(金)までの来日期間中、東京都千代田区のTokyo Innovation Base(TiB)およびSAAI Wonder Working Communityにおいて、セミナーやピッチイベント、ビジネスマッチングイベントが開催される予定となっている。

ベトナムのスタートアップエコシステムセミナー(株式会社ゼロワンブースター提供)

【Day1】6月30日(火) 13:00〜17:00(会場:Tokyo Innovation Base (TiB) 1F SQUARE-1)

ベトナムのスタートアップエコシステムに関するセミナー、12社によるピッチイベント、ネットワーキング、個社面談(1社あたり20分程度)が行われる。

【Day2・Day3】7月1日(水)・2日(木) 13:00〜18:00(会場:SAAI Wonder Working Community)

1社あたり60分の個社面談が実施される。

参加費は無料(事前申込制)で、対象はベトナム・東南アジアのスタートアップとの協業や投資に関心のある事業会社、VC・CVC、スタートアップ支援機関などだ。

来日するベトナムスタートアップ企業12社

今回来日するベトナムスタートアップ企業12社は、CleanTech・サステナビリティ、AgriTech、製造・物流テック、ディープテック、ヘルスケア、モビリティ、スマートシティ、エドテックという7分野にまたがる。

CleanTech領域では、循環経済データプラットフォームを展開する「LoopNet Asia」、AIoTを活用した省エネ管理プラットフォーム「VEEP」(McDonald’sやVincomへの導入実績を持ち、2025年に売上250万ドル超を見込む)、農業廃棄物由来の生分解性包装材を開発する「BioWraps Solutions」が参加する。

アグリテック領域では、農場管理からESGモニタリング、農業融資までを一気通貫で支援する「DEMETER」(2025年に売上150万ドルで黒字化)、ベトナム初のデジタルトレーサビリティ専業企業「TraceVerified」(100社超のクライアントと5,000名以上の農家を支援)が来日する。

その他、AI・RFIDを活用した在庫管理ソリューションを持つ「Nextwaves Industries」EEGとAIで集中力やストレス状態を分析するウェアラブル「Brain-Life Link Technology」等が出展する。各社とも日本企業との協業・実証連携・投資機会を模索しており、ブース面談を通じて具体的な事業連携の糸口が探られる見込みだ。

ベトナムスタートアップ企業を取り巻く環境

ベトナムでは2026年4月5日、政府が「国家革新的スタートアップ戦略に関する決議第86/NQ-CP号」を正式発布し、行政手続きのデジタル化を含む法的環境整備に重点を置く方針を示した。

スタートアップ支援を国家戦略として推進する姿勢が改めて示された形で、現在ベトナム国内には約4,000社のスタートアップ企業、208の投資ファンド、84のインキュベーター、20以上の支援機関が存在するとされる。

このエコシステムにおいて重要な役割を果たしているのが、全国のイノベーションおよび起業家活動を支援するために設立された「ベトナム国家イノベーションセンター(NIC)」である。

NICは、スタートアップ、企業、研究機関、投資家、そして国際的なパートナーを繋ぐプラットフォームとして機能しており、これまでに100以上の研究機関、60のイノベーション支援センター、200以上の投資ファンドからなるネットワークを構築している。

ベトナムスタートアップ企業の日本進出、01Booster川島氏に聞く

今回のプログラムを企画・運営する株式会社ゼロワンブースター取締役の川島氏に、ベトナムとの関わりや今後の展望について話を伺った。

――御社のベトナムとの関わり、海外展開の体制について教えてください。

(川島氏)01Boosterは2012年からアクセラレーターや事業開発支援を手掛けており、グループ会社でVCも運用し、60社以上に投資しています。世界のアクセラレーターやベンチャースタジオが加盟するGlobal Venture Networkに日本で唯一加盟していますが、同団体は欧米中心であるため、アジアについては自前でネットワークを開発しています。

ベトナムを含む東南アジア(インドネシア、シンガポール、タイなど)では現地パートナー企業とMOUを締結し、共同でプロジェクトを推進しており、ベトナムについては昨年から本件を含めて3プロジェクト程度を進めています。

――これまでのベトナム関連プロジェクトの実績について教えてください。

(川島氏)一つは「Ryukyu Launchpad」で、沖縄のドローン系スタートアップのベトナム進出を、Innolab Asiaと連携して支援しました。

もう一つは、NIC(ベトナム国家イノベーションセンター)主催の「「VietLeapAIアクセラレーター」で、日本側の実行パートナーとしてベトナムのAI系スタートアップに対し、日本市場に関するオンラインメンタリング・レクチャーを実施しました。今回のプロジェクトもNICとUNDPが中心的なステークホルダーであり、この流れの延長線上にあります。

――今回(6月下旬〜7月初旬)の来日プログラム、12社の選定経緯について教えてください。

(川島氏)今回来日する12社は、ベトナム国内で実施されているアクセラレーション/インキュベーションプログラムの採択企業の中から、日本に関心のある企業が選ばれて構成されています。

7月下旬にも別のプログラムから選定された2グループ目が来日予定で、こちらについては追ってプレスリリースを出す予定です。代表的な企業としてサプライチェーン領域の「TraceVerified」(ベトナム国内でも著名で資金調達実績あり)が挙げられます。

――日本側から見たベトナムの位置づけ、双方の関心の方向性について教えてください。

(川島氏)日本側から見ると、ベトナムは基本的に「マーケット」として捉えており、日本企業がベトナムへ進出するニーズが主体です。一方、ベトナム側は近年、日本市場への関心が高まっています。背景には政府の後押しに加え、オフショア・BPO領域で日本での成功事例を持つベトナム企業が増えていることがあります。

――ベトナム企業が日本市場に注目する動きは、アジア全体の潮流と関係していますか。

(川島氏)ベトナムに限らず、韓国・台湾などは既に多数のスタートアップが日本に進出しており、この動きはここ2〜3年で加速しています。円安など複合的な要因が背景にあり、ベトナムもこの流れの中にあると見ています。

――ベトナムのスタートアップの技術力について、どのように見ていますか。

(川島氏)テクノロジーハブとしてのベトナムはまだ成長途上であるものの、一部分野では技術力も進んでいます。ただし弊社としては「技術が優れているから進出できる」という見方はしておらず、むしろ既存の技術を安く組み合わせるコスト競争力に重きをおいた事業展開に強みがあると見ています。

――世界的にニッチなベトナム市場に、御社が継続的に取り組む意義について教えてください。

(川島氏)「経済圏づくり」という発想が大きいです。日米間では従来からベンチャー投資を含む連携が強いですが、日韓・日台などクロスボーダーの投資・マーケット進出も急増しています。

また政治経済面でもベトナムは重要なパートナーであり、高市首相のベトナム訪問など政府間連携強化の動きがあり、ベトナム側はイノベーション・デジタルトランスフォーメーション文脈での支援を期待しているといいます。

――ASEANのベンチャーキャピタル市場における、ベトナムの位置づけについて教えてください。

(川島氏)ASEANではシンガポールが圧倒的に強く、かつてはインドネシアも強かったものの、コロナ以降はシュリンクの傾向があり、外資も撤退傾向にあります。一方でベトナムは成長を続けており、今後も伸びると見ています。

その推進力となっているのが、ホーチミン市など自治体・政府系機関によるベンチャーキャピタルへの「ファンズ・オブ・ファンズ」型出資で、昨年後半の法改正によって可能になりました。韓国・台湾がファンズ・オブ・ファンズで成長した経緯と類似しており、東南アジアでこれに積極的に取り組んでいるのがベトナムだと見ています。

ベトナムスタートアップ企業と日本企業の連携、今後も継続へ

01BoosterとInnoLab Asiaが推進する今回のプログラムは、ベトナムスタートアップ企業の日本進出を後押しするとともに、日本企業にとってもベトナム発の技術・サービスと出会う機会となる。

7月下旬には2グループ目の来日も予定されており、日越間のスタートアップ連携は今後も続いていく見通しだ。ベトナムのスタートアップ企業が日本市場でどのように事業を広げていくのか、その動向を注視していきたい。

イベント開催概要

●  日程: 2026年6月30日(火)〜7月2日(木)

●  参加費: 無料(要事前申込)

●  対象:ベトナム・東南アジアのスタートアップとの協業や投資に関心のある事業会社、VC・CVC、スタートアップ支援機関 等

●  主催:InnoLab Asia、株式会社ゼロワンブースター

3日間のプログラム&会場アクセス

【Day1】6月30日(火)

●  ベトナムのスタートアップエコシステムセミナー

●  スタートアップ12社のピッチイベント

●  ネットワーキング

●  個社面談(1社につき20分程度のショート面談)

時間:13:00〜17:00(JST)(12:30開場)

会場:Tokyo Innovation Base (TiB) 1F SQUARE-1(入口から向かって左側)

〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-8-3

【Day2&3】7月1日(水)~2日(木)

●  個社面談(1社につき60分) ※Day1と会場が異なります。

時間:13:00〜18:00(JST)

会場:SAAI Wonder Working Community

〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目3−1 新東京ビル 1階

https://yurakucho-saai.com/#access

お申し込み方法

●  希望のプログラムに合わせて、下記よりお申し込み可能です。(複数申込可)

●  【6/30 ピッチプレゼンイベント】への参加申込 はこちら https://vietnamjapanincubationprogram2026.peatix.com

●  【個社面談(6/30、7/1、7/2)】への参加申込はこちら

https://forms.gle/pYkJfr4DQTxqWCb86