大和ハウスグループ株式会社コスモスイニシア(本社:東京都港区、社長:髙智亮大朗)は2026年6月11日、ベトナム・ホーチミン市ニャーベー郡における分譲マンション開発事業「TT GENESIS(ティーティー・ジェネシス)」への参画を発表した。

現地不動産デベロッパーTT Capital Investment JSC(以下TTC)との共同事業として推進される第2号案件で、総戸数は約1,400戸(マンション・戸建含む)を予定。2027年第1四半期の着工・販売予約開始を目指す。

InfoBankでは株式会社コスモスイニシアへの取材を実施し、立地選定の背景、パートナー各社の役割分担、そして第1号案件「TT AVIO」からの商品企画上の変化について回答を得た。

「TT GENESIS(ティーティー・ジェネシス)」物件完成予想図(写真出所)株式会社コスモスイニシア提供

ニャーベー郡を選んだ理由——CBDから25分圏内、インフラ整備が進む成長エリア

ホーチミン市南部に位置するニャーベー郡は、都心部への近接性と将来の開発ポテンシャルの高さが評価されている。コスモスイニシアは「本件はCBDから車で約25分圏内に位置し、都心へのアクセスを確保している」と説明する。

交通インフラの整備も着実に進んでいる。「幹線道路や環状道路の整備により東西南北へのアクセス性が高く、さらに橋梁整備や新空港へのアクセス改善、メトロ計画などのインフラ開発が進行しており、今後の利便性向上が見込まれる」(コスモスイニシア)。

生活インフラの充実度についても評価は高い。「当該エリアはフーミーフンエリアの都市化の広がりを背景に新規開発が進んでおり、商業・医療・教育といった生活インフラの集積が進んでいる。既に大型商業施設や国際病院、大学などが周辺に立地しており、生活利便性の高さも本件の魅力の一つ。」と同社は述べている。

行政面でも変化の兆しがある。ニャーベー郡は郡から区への昇格が計画されており、都市基盤の整備加速が見込まれる。コスモスイニシアは「インフラ整備や行政区分の見直しとあわせて、ホーチミン市南部における新たなベッドタウンとして成長していくことを期待している」と展望を語る。

物件の位置情報

パートナー各社の役割——投資アレンジから住宅事業の知見まで

【事業スキーム】

  • TT Capital Investment JSC
  • Koterasu Partners Pte. Ltd.
  • 株式会社ヒノキヤグループ
  • その他投資パートナー

TT GENESISにはTTCとコスモスイニシアに加え、Koterasu Partners Pte. Ltd.(以下、Koterasu Partners)と株式会社ヒノキヤグループが参画する。取材に対し、コスモスイニシアは各社の役割について下記の通り、説明する。

Koterasu Partnersは「ベトナム市場における投資実績やネットワークを背景に、本プロジェクトにおける投資機会のアレンジメントおよびアドバイザリー業務を担うパートナーであるとともに、自らも出資者として参画することで事業の円滑な推進を支える」という位置付けだ。

シンガポールを拠点に2020年設立された同社は、代表の山口真一氏が現地パートナーへのエクイティ出資などを通じ、総投資金額約10億USドルの実績を積んできた。

ヒノキヤグループについては「日本において住宅事業を展開する企業として、本プロジェクトに投資パートナーとして参画。これまで培ってきた住宅事業の知見を背景に、他のパートナーと共に事業の価値向上に取り組んでいる」と説明する。

年間4,000棟超の戸建住宅を手掛け、全館空調システム「Z空調」で国内シェアNo.1を誇る同社のベトナム進出は、長年の住宅事業で蓄積したノウハウを国際市場に展開する試みとなる。

プロジェクト全体の運営方針については「各パートナーそれぞれの専門性を活かしながら、投資・企画・ガバナンスの観点からプロジェクトに参画する体制としている」とまとめた。

ニャーベ(Nhà Bè)は、ホーチミン市南部に位置する歴史的・戦略的な地区だ。ベトナム南部特有の水路網と豊かな自然生態系を有し、市中心部と港湾地域、南部の主要経済圏を結ぶ交通の要衝として機能してきた。ホーチミン市の2030年開発戦略では、ニャーベ、ビンチャイン、旧7区を中心とした市南部が、産業・港湾・サービス・住宅・グリーンインフラを統合する新たな成長エリアとして位置づけられている。(写真出所)https://www.vietnam.vn/ja/nha-be-phat-trien-do-thi-hien-dai-hai-hoa-voi-thien-nhien

「TT AVIO」の経験が下地に——2BR中心の実需設計にタウンハウスも組み合わせ

コスモスイニシアは2024年、ビンズオン省ディーアン市で第1号案件「TT AVIO」を起工。総戸数約2,000戸の販売進捗率は現在90%以上に達しており、ホーチミン市近郊における中間層の旺盛な住宅需要を実証した。TT GENESISでは、この経験から得た知見を踏まえて商品企画の改良を図っているという。

「立地特性の違いを踏まえ、ファミリー層の実需をより強く意識した設計としている。具体的には、2ベッドルームを中心とした住戸構成とし、居住性と価格のバランスに配慮した商品企画とした」(コスモスイニシア)。

TT AVIOとの差別化として、複合型開発の要素も加わった。「マンションに加えてタウンハウスや商業区画を組み合わせることで、多様なライフスタイルや居住ニーズに対応できる構成としている点も特徴。」と説明する。

プレスリリースではマンション2棟(地上30階建て)に加え、戸建12戸も計画に含まれている。Studio、1BR、2BR、3BRと多様なユニットタイプを設定することで、単身層から大家族まで幅広い購買層を取り込む狙いだ。

「本プロジェクトはTT AVIOの実績を踏まえながら、より実需に寄り添った商品企画へと改善させた取り組みと位置付けている」(コスモスイニシア)。

ベトナムにおける分譲住宅開発事業第1号物件「TT AVIOプロジェクト」(写真出所)コスモスイニシア

プロジェクト概要と今後のスケジュール

TT GENESISの物件概要は以下の通り。

  • 物件名:TT GENESIS
  • 所在地:ベトナム社会主義共和国 ホーチミン市ニャーベー郡
  • 総戸数:約1,400戸(マンション・戸建含む)
  • 規模:地上最大30階、敷地面積約1.9ha
  • ユニットタイプ:Studio、1BR、2BR、3BR
  • 今後のスケジュール
    • 2026年:着工準備および各種許認可取得
    • 2027年:販売開始および本体工事着手
    • 2029年:第1棟竣工

2026年内は着工準備および各種許認可取得を進め、2027年第1四半期に販売開始と本体工事着手へと移行する計画だ(スケジュールは変更の可能性あり)。なお、2026年6月4日にはホーチミン市で調印式・合同式典が執り行われた。

TT GENESIS 調印式・合同式典の様子(2026年6月4日 ホーチミン市)(写真出所)株式会社コスモスイニシア提供

コスモスイニシアは1974年の創業以来、首都圏を中心に10万戸以上の住宅供給実績を持つ。「中間所得層向け住宅供給」「都市の持続的発展への貢献」を軸に、ホーチミン市およびその周辺エリアでの長期的な事業展開を進める方針だ。

生産年齢人口の厚さと高いGDP成長率に支えられたベトナム市場において、日系企業が連携する形で良質かつ手の届きやすい住宅供給を進める取り組みは、今後も注目される。

ベトナム経済メディアInfoBank 編集長

三浦 賢弥

KENYA MIURA

筑波大学大学院でのベトナム研究・ホーチミン市師範大学での留学を経て、JETRO(日本貿易振興機)に入構。

ベトナム進出コンサルティング・市場調査会社に7年間携わり、2026年1月にベトナム経済メディアInfoBankを企画・運営する株式会社InfoBase創業。代表取締役に就任。