株式会社ドール(東京都中央区、代表取締役社長CEO 青木 寛)は2026年6月、ベトナム産の大型赤肉ドラゴンフルーツ『Dole 怪獣ドラゴン』の販売を開始したことを発表した。

従来品の約2倍というインパクトあるサイズで、日本市場における新たなフルーツ需要を開拓しようとしている。InfoBank編集部は今回、株式会社ドール マーケティング本部 広報室を取材その商品開発の背景と、ベトナム現地での生産体制について伺った。

ベトナム産ドラゴンフルーツを大型化する栽培技術

ドラゴンフルーツはサボテン科の多年草植物で、背の高い株からぶら下がるように果実が実る。Doleの通常サイズのドラゴンフルーツでは、1つの葉(茎節)につき2つの果実を育てて収穫しているが、『怪獣ドラゴン』では敢えて1つの葉につき1つの果実だけを育てることで、栄養を集中させ、より大きな実が育つように栽培管理している。

仕組みはシンプルだが、それを安定的に実現するために現場では緻密な管理が求められる。広報室の担当者は次のように語る。

「時期や天候によって、フルーツの成長速度に変化があるため、現地スタッフ・生産者が密にコミュニケーションを取り、品質・生育状況を随時確認しています。直近の計画、そして中長期の見通しを立てながら、常にベストな状態のフルーツを必要なだけ収穫できるよう、栽培管理に取り組んでいます」

生育中のドラゴンフルーツ。左が通常サイズ、右が『怪獣ドラゴン』(出所)株式会社ドール提供。

ドラゴンフルーツ大国・ベトナムの産地力

『Dole 怪獣ドラゴン』を含むDoleのドラゴンフルーツは、全ラインナップがベトナム産だ。ベトナムは栽培面積約55,000ヘクタール、40カ国以上に輸出する世界最大のドラゴンフルーツ産地の一つであり、ドリアンとともに同国の青果物輸出を牽引する存在だ。

ベトナムの主産地はビントゥアン(Binh Thuan)省で、全体の生産量・輸出額の70%以上を占める。一方、Doleのドラゴンフルーツはロンアン(Long An)省の生産者から調達している。ロンアンはメコンデルタ北部に位置し、豊富な水資源と肥沃な土壌を活かした青果物生産が盛んな産地だ。

一方、ベトナム産ドラゴンフルーツの約8割は従来、中国向けに輸出されてきた。日本市場への高付加価値品の投入は、こうした輸出先の分散という観点からも意義を持つ。一年を通じて収穫が可能な気候条件と、高い品質認証水準を持つベトナムの生産基盤が、Doleのような日本ブランドとの協働を支えている。

ベトナムの最大のドラゴンフルーツ産地はビントゥアン省だが、Doleはメコンデルタのロンアン省の生産者と協働している
(出所)Nong Nghiep & Moi Truong

一方で、ロンアン省はメコンデルタ地域の農業生産地として知られ、ドラゴンフルーツのほかスイカやパイナップルなども主要作物となっている。

ロンアン地区とビントゥアン地区の位置(出所)株式会社ドール提供

ドラゴンフルーツの赤肉品種が持つ栄養成分

『怪獣ドラゴン』は赤肉品種を採用している。ドラゴンフルーツにはビタミンB1・葉酸・カリウム・マグネシウムなど多様な栄養素が含まれているが、赤肉品種にはさらに、ポリフェノールの一種「ベタシアニン」が含まれているのが特徴だ。あの鮮やかな赤紫色の果肉を生み出す色素成分であり、抗酸化作用を持つポリフェノールとして注目されている。

広報室の担当者は「いわゆる”健康への効果”という形ではお伝えしていないのですが、これらの栄養素を含むことから、『栄養素がぎゅっと詰まったフルーツ』と表現しています」と説明する。

ドラゴンフルーツを使ったレシピの例「ドラゴンフルーツ(赤)アイスのピタヤボウル」(写真出所)株式会社ドール公式サイト

ドラゴンフルーツに「体験価値」を加えるDoleの狙い

Doleが「フルーツでスマイルを。」というブランドメッセージのもとで取り組むのは、味覚や栄養だけでなく、「見た目のインパクト」や「楽しさ」という新たな価値軸でのフルーツ体験の提案だ。

インパクトある見た目と食べ応えのあるサイズ感で、日本ではまだ喫食機会の少ないドラゴンフルーツの需要喚起を狙った商品だ。SNSでシェアしたくなるような「映え」と、思う存分楽しめる「食べ応え」——ドラゴンフルーツの新たな楽しみ方を提示する商品として位置付けられている。

ベトナム産ドラゴンフルーツ、日本市場で高付加価値化

今回のDoleの取り組みは、ベトナムの農産物輸出力の向上という観点からも注目に値する。日本の大手フルーツブランドがベトナム産を主力に据え、付加価値商品として展開するケースは、かつてより確実に増えている。価格競争力だけでなく、品質・供給安定性・現地パートナーとの協働体制が整ってきた証左と言えるだろう。

『Dole 怪獣ドラゴン』は2026年5月下旬より順次、全国のスーパーマーケット等で販売中だ。ベトナムの農地から日本の食卓へ——その距離を縮め続ける一つの事例として、引き続き注視していきたい。

本記事は株式会社ドール マーケティング本部 広報室への取材をもとに作成しました。

ベトナム経済メディアInfoBank 編集長

三浦 賢弥

KENYA MIURA

筑波大学大学院でのベトナム研究・ホーチミン市師範大学での留学を経て、JETRO(日本貿易振興機)に入構。

ベトナム進出コンサルティング・市場調査会社に7年間携わり、2026年1月にベトナム経済メディアInfoBankを企画・運営する株式会社InfoBase創業。代表取締役に就任。