ベトナムの国内排出量取引制度(ETS)が試行段階に入り、火力発電・鉄鋼・セメントの110施設に排出枠が配分された。一方で、首相決定No.42/2026/QĐ-TTg が2026年8月10日に署名・公布され、同年9月25日に施行される。

この決定により、温室効果ガス(GHG)の排出量算定(インベントリ)と報告が義務付けられる対象分野および対象施設(排出源)の最新リストが定められた。この最新リストにより、報告義務を負う事業所は2441カ所に広がる。

ETS制度の枠組みと炭素取引所の稼働実績

ベトナムの温室効果ガス規制の土台は政令No.06/2022/ND-CPで、政令119/2025/ND-CP等により改定されてきた。国内排出量取引制度(ETS)の設計を定めているのは同政令であり、排出枠の配分を2025〜2026年、2027〜2028年、2029〜2030年の3期に区切っている。試行は2028年末まで続き、2029年から全国での本格運用に移る計画となっている。

ベトナム国内の炭素取引所は2026年6月29日、ハノイ証券取引所(HNX)で取引を開始した。最初の商品は排出枠「VN2025」で、初日は1200トンCO2相当を超える成約があり、終値は1トンCO2あたり13万ドン(約768円)、日中高値は13万6000ドン(約803円)だった。2025〜2026年に3業種へ配分された排出枠は合計5億1100万トンCO2換算を超える。

ベトナムでは産出量ベースのベンチマーク方式がとられている。基準になるのは2022〜2024年の平均生産量と施設ごとの排出原単位だ。EU ETSのような絶対量の上限を逓減させる設計ではないため、基準値が段階的に厳しくならない限り、生産量が増えれば対象排出量の総量は増えうると指摘されている。

GHG報告対象事業所の内訳と履行スケジュール

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