2026-2027学年度は2つの制度変更が同時に進む年
ベトナムの教科書行政は今学年度、全国的な一律化と段階的無償化という2つの制度変更が重なった。2026-2027学年度から、全国の学校で使用する教科書は「Kết nối tri thức với cuộc sống(生活と知識をつなぐ)」1シリーズに統一されている。
2025年12月26日付のベトナム教育電子紙によると、教育訓練省は決定3588/QĐ-BGDĐTによりこのシリーズを全国共通と定め、発行はベトナム教育出版社が一手に担う。同紙の2026年7月21日付の報道では、同社は今学年度に約2億447万部の発行を計画しており、印刷・発行業務は公開競争入札を通じて外部に委託されている。

無償化については、ベトナム政府が2026年7月3日付で政令271/2026/NĐ-CPを公布し、普通教育の教科書無償化の枠組みを規定した。
全国すべての児童生徒を対象とする完全実施は2029-2030学年度からで、当面は学校図書館から教科書1セットを借り、使用後に返却する貸与方式で運用される。ホーチミン市の対象児童生徒数は今学年度262万1038人で、前年度から9万6258人増加しており、制度変更が始動する年に対象人数そのものも拡大していたことになる。
発注停止と実施計画の遅れが、印刷に必要な期間と衝突
ホーチミン市教育訓練局は2026年5月と6月、無償配布に関する上位方針の指示を待つため、市内の学校に対して教科書発注を停止するよう緊急通知を出した。市人民委員会が無償化の具体的な実施計画を公表したのは8月14日で、発注停止から実施計画確定までにおよそ2カ月半を要した計算になる。
この遅れが問題となったのは、教科書の入札・印刷・仕上げには最低6カ月を要するとされているためだ。市内385校(全体の約26%)が発注を始めたのは実施計画公表後の8月15日以降で、うち222校は非常に大きな数量の追加発注をかけている。
続きを読むには会員登録またはログインが必要です。

ベトナム経済メディアInfoBank 編集長
三浦 賢弥
KENYA MIURA
山形県山形市出身。筑波大学大学院でのベトナム研究・ホーチミン市師範大学での留学を経て、JETRO(日本貿易振興機構)に入構。
ベトナム進出コンサルティング・市場調査会社に7年間携わり、2026年1月にベトナム経済メディアInfoBankを企画・運営する株式会社InfoBase創業。代表取締役に就任。
お問い合わせ先は こちら
