ベトナム経済の中心地であるホーチミン市が、電子商取引(EC)を軸とした大規模な都市改革に乗り出した。単なるネット販売の拡大にとどまらず、物流、決済、輸出、環境対策までを一体的にデジタル化する構想となっており、2026年7月末に公布された「EC発展総合計画2026~2030年」を実行段階に移している。
ベトナム・ホーチミン市が始動させたEC発展計画とは
ホーチミン市人民委員会は、2030年までの数値目標を掲げたEC発展計画を打ち出した。主な目標は次の通りである。
- 成人の70%がオンラインで商品を購入
- EC小売売上高を年平均25%成長
- ホーチミン市内小売売上高に占めるEC比率を20%
- ECを活用する企業を80%超
- キャッシュレス決済比率を80%超
- ラストワンマイル配送費をEC売上高の10%以下
注目すべきは、消費者のオンライン利用拡大だけを狙ったものではない点だ。企業側の決済・請求・物流までを含めて、都市の商流全体をデジタル化しようとする姿勢がうかがえる。
EC拡大を支えるホーチミンの物流・環境インフラ

EC市場の成長には、配送コストの抑制が欠かせない。ホーチミン市は、商品の保管から発送までを担うフルフィルメントセンターや、住宅地向けの小規模物流拠点の整備を進める方針を示した。
同時に、環境負荷の軽減にも重点を置いている点が特徴的である。2030年までに、プラスチック包装の使用割合を45%以下に抑え、クリーンエネルギーを利用する物流企業を40%以上とする目標が設定された。EC拡大がそのまま廃棄物増加につながらないよう、成長と環境対応を両立させる姿勢が示されている。
また、国内産品の販売支援も進められており、OCOP(一村一品)商品の販路拡大を目的とした「Hàng Việt Tôi Yêu」チャネルはすでに稼働中だ。2026年上半期だけで約240億ドンの売上、15万点超の商品取引を記録しており、既存施策のさらなる大規模化が今回の計画の柱となっている。
越境ECとAI活用で広がるベトナム企業の輸出戦略
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