ベトナム商工省が石油事業(石油流通)に関する政令の新たな草案を完成させた。最大のポイントは、国が定期的に公表してきた**「基準価格」制度そのものを廃止し、ガソリン・軽油などの価格決定を一次業者(元売り)や二次業者(卸・小売流通業者)の自主判断に委ねる**点にある。

現行制度が抱えてきた価格転嫁の遅れや、小売店への皺寄せといった構造的な課題を是正する狙いがあり、実現すれば2014年の政令83号以来続いてきた国主導の価格管理の枠組みが大きく転換することになる。

ベトナムのガソリン基準価格制度、何が問題だったのか

現行の政令83号などの下では、一次業者・二次業者は卸売価格を自ら決定できるものの、系列内の小売価格は国が公表する「運営価格(基準価格)」を超えることができない。この基準価格は、当四半期のコスト要素を前四半期の平均データに基づいて算定する仕組みであるため、世界の原油価格が急変した際にコスト増が国内販売価格へ十分かつ迅速に反映されないという構造的な遅延が生じていた。

その結果、一次業者は利潤を確保するために小売店向けの割引率(マージン)を大幅に削減し、時にはゼロにまで切り下げるケースもあり、小売店の経営を圧迫する要因として業界団体や個人から繰り返し問題視されてきた。

Petrolimexのガソリンスタンドで、従業員が「E5 RON92」「RON95」ガソリンの店頭価格を掲示・更新する様子。ベトナムでは商工省の基準価格発表に基づき、各店舗が価格表示を随時書き換えている。(出所)Phap Luat PLUS

ベトナムのガソリン価格、基準価格から市場価格へ

商工省が7月20日付で完成させた最新の草案では、一次業者は自社の流通系列内における卸売・小売価格を、当局が定める法定の価格計算式に基づいて自ら決定・公表できるようになる。一次業者の系列に属さない独立系の二次業者も、独自に小売価格を決定することが可能だ。ただし、系列内の二次業者の小売価格は、一次業者が公表する価格を上回ってはならないというルールが設けられている。

価格の算定式は「仕入価格+調達コスト+標準事業コスト+利潤+各種税(輸入税・特別消費税・環境保護税・付加価値税等)」で構成される。このうち仕入価格・調達コスト・利潤は各企業が実際の経営状況に応じて自ら設定する一方、標準事業コストのみを商工省が定期的に公表・調整する。

国が公表する要素をこの一点に絞ることで、企業の自主性を確保しつつ不当な値上げを抑制する狙いだ。二次業者は複数の供給源から仕入れられるようになり、小売業者との割引率も需給に応じた個別交渉で決定される仕組みに変わる。

遠隔地向け価格調整、上限は小売価格の2%まで

輸入港・元売り倉庫・生産拠点から遠い地域については、特別な調整措置が設けられる。監査済みの実際の輸送・流通コストが発生した場合、一次業者は該当地域を公表したうえで価格を調整し、コスト増を補填できる。

ただし、その引き上げ幅は同時点で自社が公表する小売価格の2%を超えてはならないという上限が明記されている。同様に、系列外の二次業者が同地域で決定する小売価格も、一次業者が同地域・同時点で公表する最高価格を超えることはできない。

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