ベトナム商工省は首相宛ての緊急報告で、電源と送電網の遅れが続けば2027年から電力不足が広がり、2030年には全国で約1万3964MW・約611億8000万kWhが不足すると試算した。不足は北部に集中する。商工省はPDP8(第8次国家電力開発計画)の2段階修正と、工場の自家消費型太陽光・蓄電池の拡大、石炭火力の追加を提案している。

商工省が警告する2027年からの電力不足の規模

9月12日付の現地紙Dan Triによると、商工省は2026〜2030年の電力供給確保策とPDP8の調整に関する報告を首相に提出した。2026年は総発電電力量が約3544億kWh、最大需要が5万7537MWの見込みで、供給は基本的に確保されると評価している。

一方で、現地紙Thanh Nienによると、遅れが改善しない場合の不足は2027年に約4256MW・約29億kWh、2028年に約8309MW・約207億kWh、2029年に約504億kWh、2030年に約1万3964MW・約611億8000万kWhへ広がる。

また、北部の供給力不足は2027年に約5680MW、2028年に約9678MWに達する見込みとされている。2030年は約1万3026MWの不足が見込まれている。

PDP8の大型電源は稼働済みが約5%にとどまる

背景には計画の実行の遅れがある。タインニエンによると、PDP8の実施から3年余りで、計画に含まれる大型電源プロジェクトのうち稼働済みは約5%にとどまり、残る約45%は投資方針も未決定だ。送電網も、EVN(ベトナム電力グループ)と傘下各社が実施できるのは計画の工事量の約28.6%にとどまる。

商工省が提案した電力計画8の2段階の緊急修正

修正は2段階で進める案だ。第1段階は国会決議第253/2025/QH15号に基づく「更新修正」で、遅れるLNG火力を補う石炭火力の新規追加と、早期に展開できる再生可能エネルギーの追加を行う。第2段階は計画法に基づく2050年までの全体修正で、第1段階の内容と整合させる。

工場の自家消費太陽光と蓄電池が当面策の柱に

2027〜2028年の当面策として、商工省は屋根置き太陽光と蓄電池の積み増しを挙げた。国家予算で官公庁・学校・病院などの屋根に約2800MWの太陽光を2027年6月までに設置し、工業団地や製造拠点には自家消費型太陽光を蓄電池(BESS)と組み合わせて設置するよう促す。

系統側でも約2000〜3000MWのBESSを追加投資し、ラオス・中国からの電力輸入を2027年3月31日までに確保するよう求めた。

2029年以降は石炭火力5300MWの追加を検討

2029〜2030年は、負荷中心に近い石炭火力を合計約5300MW追加して2030年の稼働を目指し、炭素回収・貯留(CCS)設置のロードマップを付ける。

2023年の北部電力不足の実績と今回の備えの違い

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ベトナム経済メディアInfoBank 編集長

三浦 賢弥

KENYA MIURA

山形県山形市出身。筑波大学大学院でのベトナム研究・ホーチミン市師範大学での留学を経て、JETRO(日本貿易振興機構)に入構。

ベトナム進出コンサルティング・市場調査会社に7年間携わり、2026年1月にベトナム経済メディアInfoBankを企画・運営する株式会社InfoBase創業。代表取締役に就任。

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