ベトナムで、イオンモールの新規開業が相次いでいる。2026年10月には北中部タインホア省に大型商業施設がオープンする予定であり、同社にとって現地進出以来もっとも出店が集中する年となる見通しだ。
今回のタインホア新店は、単なる買い物施設ではなく、家族や地域住民が日常的に集う場としての機能を強く打ち出している点が特徴である。さらに同時期には、北部の観光都市ハロンへの出店も控えており、都市ごとに異なるコンセプトを掲げるイオンモールの地方戦略が浮き彫りになりつつある。
本稿では、現地報道をもとに新モールの概要と、その背景にあるベトナム事業拡大の狙いを整理する。
ベトナム地方都市で相次ぐイオンモールの新規開業

イオンは近年、ハノイやホーチミンといった大都市に加え、地方の成長都市への出店を積極化させている。2026年はベトナム進出以来もっとも出店数が多い年になるとされ、今後数か月のうちに複数の大型商業施設が相次いで開業する計画だ。
タインホア省に新設されるモールは、敷地面積が約10万5,000㎡、延床面積は約12万㎡にのぼる。賃貸面積は約5万2,000㎡で、テナント数は130店舗超を予定。開業前の時点でテナント契約率はすでに97%に達しており、地域における関心の高さがうかがえる。工事進捗も約99%まで進んでおり、10月中旬の開業準備は最終段階に入っている。
入居予定のブランドには海外ファッション系から地元で人気の飲食チェーンまで幅広い顔ぶれが並び、全体の6割超がこのエリアへの初出店になるとみられる。
タインホア新モールが打ち出す「地域の拠点」という設計

今回の施設が掲げるコンセプトは、買い物だけにとどまらない「家族と地域のための拠点」である。具体的には、以下のような設備が予定されている。
- 約1万㎡規模のスポーツ・エンターテインメントゾーン
- モール内としては珍しい5面のピックルボールコート
- 緑や噴水、照明を配した屋外の憩いスペース(全長約60m)
屋外エリアは昼だけでなく夜間の利用も想定されており、日が暮れてからも人が集まれる空間づくりが意識されている。また、自然と触れ合いながら子どもの成長を育む日本発の考え方を取り入れたファミリー向けエリアが設けられる点も特徴的だ。
施設周辺のインフラ整備も並行して進められており、地元行政はアクセス道路を単なるモール専用路ではなく、都市全体の交通網の一部として位置づけている。開業に伴う人出の増加を見据え、交通整理や防災体制の準備も進められている段階である。
ハロン出店にも見えるイオンモールの地域別戦略

イオンモールタインホアの完成イメージ図(出所:イオン株式会社)
イオンの出店戦略で興味深いのは、地域ごとにモールの性格を明確に使い分けている点だ。タインホアでは「家族・コミュニティ」を軸にする一方、同時期に開業予定のハロンの施設では「観光・ライフスタイル」を重視した設計が採用されるとみられている。
背景には、イオンがベトナムを重点市場のひとつと位置づけ、2030年に向けて投資を拡大する方針があることが挙げられる。対ASEAN投資の一定割合をベトナムに集中配分し、店舗数拡大に加えてEC・物流網・現地生産体制の強化にも力を入れる考えが示されている。
大都市では大型モールとスーパーを組み合わせた総合的な生活圏を、地方の中核都市では今回のような大型・中型商業施設を、それぞれの地域特性に合わせて展開していく方針とみられる。タインホアとハロンへの相次ぐ出店は、その象徴的な事例といえるだろう。今後も地方都市を中心とした出店の動きは続く見込みであり、ベトナム国内における商業施設のあり方そのものが変化していく可能性がある。
イオンモール タインホア 施設概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名称 | (日)イオンモール タインホア (英)AEON MALL Thanh Hoa |
| 所在地 | Lot 16 – Commercial Center in the Southern Urban Area of Thanh Hoa City, Quang Phu Ward, Thanh Hoa Province, Vietnam |
| 電話番号 | イオンモール タインホア:未定 イオン タインホア店:未定 |
| 責任者 | イオンモール タインホア ゼネラルマネージャー 西村東吾 イオン タインホア店 店長 Truong Khanh Xuan(チュオン カイン スアン) |
| HPアドレス | thanhhoa.aeonmall-vietnam.com |
| 出店店舗数 | 核店舗:イオン タインホア店 サブ核店舗:UNIQLO、CGV、コーナン、FAHASA、KIDZOOONA & TINY MOLLY FANTASY 専門店:133店舗 |
| 敷地面積 | 約105,000㎡ |
| 延床面積 | 約120,000㎡ |
| 総賃貸面積 | 約52,000㎡ |
| 駐車台数 | 約11,500台(バイク) 約1,300台(自動車) |
| 建物構造 | RC造 地上5階、地下1階 |
| 開店日 | 2026年10月18日(日)グランドオープン |
| 営業時間 | 10:00〜22:00(平日) 9:00〜22:00(土日祝) |
| 休業日 | 年中無休 |
| 従業員数 | 約3,500名(内、イオン タインホア店 約450名) |
| 基本商圏 | 車30分圏内 約100万人 |

ベトナム経済メディアInfoBank 編集長
三浦 賢弥
KENYA MIURA
山形県山形市出身。筑波大学大学院でのベトナム研究・ホーチミン市師範大学での留学を経て、JETRO(日本貿易振興機構)に入構。
ベトナム進出コンサルティング・市場調査会社に7年間携わり、2026年1月にベトナム経済メディアInfoBankを企画・運営する株式会社InfoBase創業。代表取締役に就任。
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