2026年5月12日、ホーチミン市とドンナイ市はロンタイン国際空港に接続する2つのメトロ路線について、走行ルートを大筋合意した。空港の第1期開業(2026年末)を前に、周辺インフラ整備が具体的な段階に入ってきた。
ロンタイン空港へ延びる鉄道計画
ロンタイン空港エリアには、現在3つの鉄道プロジェクトが計画されている。
①ベンタイン〜スオイティエン延伸線(ドンナイ市主導) メトロ1号線をドンナイ市行政センターおよびロンタイン空港まで延伸するプロジェクト。総延長約44.6km、総事業費約6兆5,573億ドン。工期は2026〜2030年。
②トゥティエム〜ロンタイン線(ホーチミン市主導) ホーチミン市中心部のトゥティエムからロンタイン空港を結ぶ路線。総延長約41.8km、総事業費約8兆4,752億ドン。2030年までの開業を目指し、着工は6月30日以前を予定。
③南北高速鉄道(建設省主導) ハノイ〜ホーチミン市間、総延長約1,541kmを結ぶ国家プロジェクト。総事業費は約171京3,000億ドン(約700億USD)。2026年着工、2035年の全線開業を予定。設計速度は350km/h。
今回の協議では、①②の2路線について、T1道路(国道1号〜ロンタイン空港を結ぶ道路)沿いの走行ルートが確定した。2路線は同じ道路沿いを走りながらも、それぞれ独立したルートで空港へ接続する計画だ。
ドンナイ市副主席のホー・ヴァン・ハー氏は、ベンタイン駅からロンタイン空港までの所要時間として約30分を目標に挙げた。

ホーチミン中心部からロンタイン空港へ 都市鉄道の全駅・ルートを示す (出所)Đề xuất hơn 84.000 tỷ đồng xây đường sắt đô thị Thủ Thiêm – Long Thành
| 項目 | メトロ1号線 スオイティエン延伸線 | トゥティエム〜ロンタイン線 | 南北高速鉄道 |
|---|---|---|---|
| 主体 | ドンナイ市 | ホーチミン市 | 国(建設省) |
| 総延長 | 約44.6km | 約41.8km | 約1,541km |
| 総事業費 | 約6兆5,573億ドン | 約8兆4,752億ドン | 約171京3,000億ドン(約700億USD) |
| 工期 | 2026〜2030年 | 〜2030年開業 | 2026年着工・2035年全線開業予定 |
| 設計速度 | — | — | 350km/h |
ロンタイン空港鉄道が変えるビジネス環境
ホーチミン市中心部から空港・工業団地へ30分圏内に
現状、ビエンホアやロンタイン工業団地へのアクセスは道路依存が強く、渋滞リスクが拠点選定の障壁となってきた。鉄道2路線が2030年前後に開業すれば、ホーチミン市中心部から空港まで約30分という移動環境が整う。製造業・物流業を中心に、ドンナイ省への進出・機能移転を再検討する材料が揃いつつある。
ロンタイン空港周辺の不動産・立地価値が上昇局面か
2026年末の空港開業と鉄道接続が組み合わさることで、空港周辺エリアに「航空+鉄道」のアクセスが生まれる。タンソンニャット空港周辺に集積している日系企業の一部にとっては、拠点機能の移転・分散を検討する契機となりうる。
空港周辺の不動産はすでに価格上昇局面に入っており、商社・不動産・ホテル・サービス業では早期の意思決定が競争優位につながる可能性がある。

ベンタイン駅を起点に、メトロ1号線延伸(赤)とトゥティエム〜ロンタイン線(青)の2路線がロンタイン空港に接続する計画
2026〜2030年、工事に伴うアクセス悪化リスクをどう織り込むか
2路線の施工期間中、T1道路沿いでは交通規制や渋滞の悪化が見込まれる。2026年末の空港開業直後は道路アクセスのみの運用となるため、シャトルバスや専用送迎といった移行期のオペレーション設計が現実的な課題となる。開業後の利便性向上と工事期間中の一時的なアクセス悪化の両面を、今から事業計画に織り込んでおきたい。
2026年末の空港開業まで半年を切った。鉄道2路線の着工も目前に迫る中、拠点戦略・物流設計・不動産判断のいずれにおいても、動くタイミングの見極めが問われている。
