英大手金融機関スタンダード・チャータード銀行(以下、スタンチャート)は、ベトナムの2026年GDP(国内総生産)成長率見通しを従来の7.2%から9.5%へと大きく上方修正した。さらに2027年についても11%まで成長率が伸びるとの見方を示している。同行がここ数年で示してきたベトナム経済に関する予測の中でも、今回の上方修正幅は際立って大きいものとなった。
背景にあるのは、2026年上半期(1〜6月)のベトナム経済が市場予想を上回るペースで回復したことだ。製造業や投資、国内消費が想定以上に力強く持ち直したことが、今回の大幅な見通し引き上げにつながったとみられる。
製造業・投資が牽引、ベトナム経済の底堅い成長
スタンチャートでベトナム・タイ地域を担当するシニアエコノミストは、2026年上半期のベトナム経済について、製造・加工業やサービス業、投資の各分野で着実な回復がみられたと分析している。加えて、政府による成長促進的な政策運営が下支えとなり、上半期の実績が事前の予想を上回る結果につながったとの見方を示した。
同行は、世界経済の先行き不透明感やインフレ動向については引き続き注視すべきリスク要因としながらも、ベトナム国内では個人消費や投資需要が堅調に推移し、インフラ整備や生産能力の拡張が継続していることから、下半期以降も前向きな経済環境が続くと予想している。
インフレ見通しは改善、政策金利は据え置きへ
成長率の上方修正と併せて、スタンチャートはインフレ率の見通しについては引き下げを行った。2026年は4.4%、2027年は3.3%と、物価上昇圧力が今後さらに緩和していくとの見方を示している。
こうした物価環境を踏まえ、ベトナムの中央銀行にあたるベトナム国家銀行は、当面の間、政策金利を現行水準で据え置く可能性が高いとスタンチャートは予測する。景気拡大を後押ししつつ、マクロ経済の安定も維持するというバランスを重視した金融政策運営が続く見通しだ。
国際金融機関の間で強まるベトナム経済への強気姿勢
ベトナム経済への強気な見方を示しているのはスタンチャートだけではない。シンガポールに拠点を置くUOB(大華銀行)も、今回のスタンチャートの発表に先立つ7月10日、2026年のベトナムGDP成長率予測を8.5%へと引き上げている。同行は2026年1月時点で7.5%への上方修正を行っていたが、上半期のGDP成長率が8.18%と東南アジアで最高水準に達したことなどを受け、再度の引き上げに踏み切った。
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