ベトナム政府は2026年6月27日、26年のGDP成長率10%以上の目標を達成するため、新たなシナリオを打ち出した(政府決議168号)。この新たなシナリオでは、目標達成のために必要となる、2026年下半期に11.9%の経済成長を達する道筋が描かれている。同日付の決議169号では、全34省市に成長目標を割り当て、国を挙げて経済発展に向かう体制を敷いた。
一方で世界銀行は、2026年におけるベトナムの成長率を6.8%と予測している。政府が掲げた目標との乖離は大きい。目標の実現には公共投資・輸出・民間投資を加速させるとともに、改革の着実な実行が問われる。
ベトナム2026年、下半期11.9%成長へ34省市に目標
各省庁・地方からの報告によれば、2026年上半期の経済成長率は8.7%にとどまる見込みだ。政府はこの試算を踏まえ、26年に10%以上の成長を実現させるために、下半期のGDP成長率11.9%と設定した。年初に示した下半期シナリオ約10.3%からの大幅な引き上げである(決議168号)。
あわせて、分野別の成長目標も掲げられた。
- 電力生産は16.9%増
- 建設は17.6%増
- 宿泊・飲食サービスは17.3%増
を目標としてあげており、いずれも極めて高い水準である。
同日付の決議169号では、全34省市にも、2026年ならびに2026〜30年期の成長目標を割り当てた。
- ハノイ市には年あたり11%
- ホーチミン市には年あたり10.2%
という全国目標を上回る水準が課されている。目標を下回るペースの地方には、シナリオの見直しや成長を妨げる要因の特定、四半期ごとの財務省への報告が義務付けられた。地方への目標割当は前年にも採用されている手法だが、行政再編後の34省市体制では初めてとなる。
図表:決議168号が示す各省市の2026年GRDP成長率目標
| 省市 | 26年の成長率目標(%) | 上半期の成長率(%) | 対GDP比で見た構成比(%) |
|---|---|---|---|
| ホーチミン市 | 10.2 | 8.47 | 23.3 |
| ハノイ | 11 | 7.87 | 12.4 |
| ハイフォン市 | 13 | 12.42 | 5.7 |
| ドンナイ省 | 10 | 9.24 | 5.3 |
| バクニン省 | 12.5 | 10.27 | 4.1 |
| フート省 | 11 | 10.87 | 3.2 |
| クアンニン省 | 13 | 10.22 | 2.9 |
| ラムドン省 | 10 | 7.63 | 2.8 |
| タイニン省 | 10.04 | 9.62 | 2.7 |
| ニンビン省 | 11 | 12.04 | 2.7 |
| タインホア省 | 11 | 8.65 | 2.6 |
| フンイエン省 | 11.5 | 10.15 | 2.5 |
| ダナン市 | 11.22 | 8.88 | 2.5 |
| カントー市 | 10.07 | 7.07 | 2.4 |
| アンザン省 | 10.71 | 8.31 | 2.3 |
| ドンタップ省 | 8.21 | 6.94 | 2.2 |
| ビンロン省 | 10 | 5.52 | 2.2 |
| ザーライ省 | 9.01 | 7.94 | 2.1 |
| ゲアン省 | 11.05 | 8.67 | 1.9 |
| ダクラク省 | 10.02 | 7.7 | 1.8 |
| カインホア省 | 10.2 | 8.07 | 1.6 |
| タイグエン省 | 11 | 9.38 | 1.5 |
| クアンガイ省 | 9 | 8.01 | 1.5 |
| カマウ省 | 10 | 6.21 | 1.3 |
| ラオカイ省 | 10.1 | 8.48 | 1.1 |
| クアンチ省 | 10.6 | 8.17 | 1.0 |
| ハティン省 | 10.43 | 12.02 | 0.9 |
| ソンラー省 | 8 | 4.18 | 0.7 |
| トゥエンクアン省 | 10.17 | 7.23 | 0.7 |
| フエ市 | 10.02 | 9.22 | 0.7 |
| ランソン省 | 10.61 | 6.54 | 0.5 |
| ライチャウ省 | 10 | 6.69 | 0.3 |
| ディエンビエン省 | 11.02 | 7.93 | 0.3 |
| カオバン省 | 10 | 7.97 | 0.2 |
(「26年の成長率目標」=全国の通年成長率目標10%以上の達成に向けて各省市に求められる2026年通年のGRDP成長率、「上半期の成長率」=2026年上半期の実績見込み・前年同期比、「対GDP比で見た構成比」=2025年の全国GRDP合計に占める割合。出所:政府決議168号付録II “Nghị quyết 168/NQ-CP 2026” をもとにInfoBank作成)
2026年ベトナム、上半期成長率8.18%にとどまる
ベトナム国家統計局が7月3日に発表したデータによれば、26年上半期の経済成長率は8.18%であった。前年同期の7.63%を上回り、上半期の成長率としては統計史上、最も高い水準である。
それでも、年初シナリオにおいて見込んでいた上半期の目標値9.7%には届かなかった。統計局は、2026年の10%成長目標を実現するには、26年の下半期に11.7%(第3四半期11.16%、第4四半期12.09%)の成長が必要だと試算を更新している。ゴー・ヴァン・トゥアン財務相も7月4日の政府会議で、下半期11.7%の達成が必須だと強調した。
目標達成のハードルの高さは歴史が物語っている。ドイモイ(刷新)以降、最も高い経済成長を達成したのは1995年で、成長率は9.54%であった。ベトナムが1年を通じて2桁成長を記録した年はまだない。
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