モランボン株式会社(本社:東京都府中市)は2026年8月27日、タンロングループのOcoba Foodstuff Joint Stock Company(以下、OCOBA)および株式会社きらぼし銀行と、ベトナムでの食品の製造・開発・販売に向けた合弁契約を締結した。
現地に工場を建設して調味料や調味食品を生産し、ベトナム国内での販売と、ASEAN諸国や日本を含む海外市場への輸出を目指す。InfoBankは同社事業開発室室長の安藤祐善氏に取材し、合弁の背景や事業構想について話を聞いた。
3社の役割分担と合弁に至った経緯
合弁事業では、モランボンが製造技術と関連ノウハウ、OCOBAがベトナム国内の販売・流通網、きらぼし銀行が事業基盤とガバナンス面の支援を担う。2026年4月にホーチミンで基本合意書(MOU)を締結しており、今後は必要な許認可・登録手続きを経て3社出資の合弁会社を設立する。原材料は、米や豚などを生産するタンロングループから調達する計画だ。

安藤氏はベトナムを選んだ理由として、国内市場の成長可能性に加え、豊富な農畜産物を活かした原材料調達と海外市場への供給を組み合わせられる点を挙げる。現地の需要に応えながら、ASEAN諸国や日本を含むグローバル市場へ商品を供給する製造拠点として育てていく構想だ。
大きなきっかけは、きらぼし銀行の支援を通じてOCOBAと出会えたことだという。さまざまな選択肢を検討するなかで、モランボンの製造技術・商品開発力、タンロングループの生産・調達基盤、OCOBAの販売・流通網、きらぼし銀行の事業化支援を組み合わせれば、持続的な事業を構築できると判断した。
各社が出資者として目標を共有し、原材料調達から製造・販売までを一体で構築しながら中長期的に事業を育てていけることが、合弁という形態を選んだ大きな理由だと安藤氏は話す。

2026年4月3日(ホーチミン)MOU締結式画像 (画像提供)モランボン株式会社
米を中心とした食文化に見いだす可能性
安藤氏がベトナム市場で特に可能性を感じているのは、米を中心とした食文化が根付いている点だ。同社が培ってきたご飯に合うおかずの味づくりや、素材のおいしさを引き出す調味技術、食卓のメニューを提案する商品開発力は、現地の日常の食事にも貢献できると考えている。
現地での商談や視察を通じては、手軽さや品質への安心感を備えた食品にも可能性を感じたという。新しい食文化を取り入れる柔軟さもあり、日本や韓国の食の要素を現地の嗜好や価格感覚に合わせて商品化する余地があるとみている。
調味料から加工食品まで、国内と輸出の二本柱で展開
想定する商品は、同社の調味技術と現地の原材料を活かした調味料・ソース類、手軽に調理・喫食できる調味食品、加工食品だ。ベトナムの食文化や日常的に購入しやすい価格帯を踏まえつつ、輸出先で求められる味や商品形態も考慮して開発する。具体的な商品や発売時期は、設備計画や販売先との協議を踏まえて順次具体化していく。
販売はベトナム国内の一般消費者向けと、ASEAN諸国や日本を含む海外市場への輸出向けを柱に据える。国内ではOCOBAの販売・流通網と市場理解を活かし、日常の食事や手軽に食べたい場面で選ばれる商品を展開する。
輸出では海外の取引先と商品仕様や供給方法の協議を進めており、ASEANについては各国の食文化や価格帯、流通環境を踏まえて販路を開拓する方針だ。外食・食品事業者向けの業務用商品や加工用原料としての供給も視野に入れ、段階的に事業を広げていく。

現地調達と技術移転で品質・供給体制を整える
原材料調達から製造までを現地でつなぐのは、競争力と継続性のある供給体制を築くためだ。輸送期間の短縮や物流の効率化につながり、生産計画の変化にも対応しやすくなる。タンロングループには原材料の安定確保に加え、調達元や生産・供給に関する情報の共有も期待しているという。品質面ではモランボンのノウハウを組み合わせ、原材料の規格や受入基準、検査方法を整備して現地パートナーと共有していく。
製造面で特に活かしたいのは、素材のおいしさを引き出す調味技術と、それを使いやすい商品に仕上げる開発力だ。配合や製造条件の設計、品質・衛生管理、工程管理のノウハウも現地に持ち込むが、原材料や設備、流通環境は日本と異なるため、条件に合わせて技術を適応させることが重要になると安藤氏は指摘する。技術移転と現地人材の育成を通じて、商品開発や品質改善に継続して取り組める体制を築く考えだ。
今後は工場建設と製造設備導入の準備、原材料の調達体制整備、許認可手続きを進める。OCOBAと消費者の反応や販売現場の声を共有しながら味・価格・容量・販売方法を磨き、ベトナムの日常の食卓に定着する商品を育てていくという。

ベトナム経済メディアInfoBank 編集長
三浦 賢弥
KENYA MIURA
山形県山形市出身。筑波大学大学院でのベトナム研究・ホーチミン市師範大学での留学を経て、JETRO(日本貿易振興機構)に入構。
ベトナム進出コンサルティング・市場調査会社に7年間携わり、2026年1月にベトナム経済メディアInfoBankを企画・運営する株式会社InfoBase創業。代表取締役に就任。
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